帝国データバンクが6月8日に発表した「全国企業倒産集計 2021年5月報」によると、5月の倒産件数は前年同月比60.1%増の461件で、10カ月ぶりに前年同月を上回った。件数自体は低水準ながら、過去最大の増加幅を記録。前年同月は緊急事態宣言の発出に伴う法的整理手続きの滞留で倒産が抑制されたことから、反動で増加した。

 5月の負債総額は前年同月比134.0%増の1,664億4,700万円となった。これは負債額約1,004億円の大型倒産(株式会社 東京商事・元・ホテル、レジャー施設運営)があったためで、これを除いた負債総額は659億6,400万円となり、5月としては過去最少だった。

 業種別では、2019年9月以来20カ月ぶりに全業種で前年同月を上回った。件数が多かったのは「サービス業」が同64.2%増の110件、小売業が同51.5%増の100件、「建設業」が同133.3%増の84件。増加率が高かったのは、前年同月が過去最少だった「不動産業」で同480.0%増の29件。なお、飲食店は「小売業」に含まれているが、飲食店の倒産件数は49件で、6カ月ぶりに増加した。

 一方、東京商工リサーチが6月7日に発表した「飲食業の倒産動向調査 2021年1−5月」によると、1月から5月に発生した飲食業の倒産(負債1,000万円以上)は270件(前年同期比15.6%減)だった。

 年間最多を記録した2020年の842件と比べ、給付金や協力金などの支援効果もあり、飲食業の倒産は抑制されている。ただ、倒産件数のうち123件(構成比45.5%)が新型コロナ関連倒産で事業継続に深刻な影響を与えていた。

 業種別では、日本料理店や中華料理店、ラーメン店、焼肉店などの「専門料理店」が71件(前年同期比19.3%減)で最も多く、「酒場・ビヤホール(居酒屋)」が69件(同2.9%増)、「食堂・レストラン」が45件(同34.7%減)で続いた。

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