ロシアで新型コロナウイルスの感染者が再び急増している。

18日に1日の新規感染者数が過去最悪の9000人超となった首都モスクワでは
患者の約9割からインド由来の変異株「デルタ株」が検出されたといい、
感染力の強い変異株が感染拡大の原因になっているとみられる。

国内のワクチン接種が進まないことも背景にあり、接客業の従業員に接種を義務づける動きも広がっている。

露政府の発表によると、ロシアの1日の感染者数は6月9日に1万人を超え、18日には1万7262人に達した。
特に大都市圏で感染が目立ち、モスクワでは6月初めから約3倍に増加した。

モスクワのソビャーニン市長は18日、「感染者の89・3%がデルタ株に感染している。
感染力が強く、入院患者も爆発的に増えている」として、約1万7000床あるコロナ専用病床をさらに約7000床増やす方針を明らかにした。

ロシアでは2020年12月に1日約3万人の感染者数を記録して以降、新規感染の数は減少傾向にあったが、
新たな流行を前にモスクワで飲食店の深夜営業やフードコートなどの営業を禁止する措置を導入するなど各地で制限措置を強化する動きが広まっている。

一方で露政府を悩ませているのが、ワクチン接種のペースの遅さだ。
1月から全国民を対象に無料の集団接種を開始したが、情報公開の不十分さを批判されている自国製ワクチンへの不信感は根強く、
6月18日時点で1回目の接種を終えたのは人口の約13%の約1970万人にとどまる。

プーチン政権はこれまで国民のワクチン強制接種に否定的な考えを示してきたが、
モスクワ市は16日、医療や教育、飲食業など客と接することの多い事業者に対し、
従業員の60%のワクチン接種を8月15日までに終わらせることを義務づけた。

同様の動きは隣のモスクワ州など各地に広がっており、強制接種の流れが強まりそうだ。
https://mainichi.jp/articles/20210620/k00/00m/030/022000c