「5Gの電波が新型コロナウイルスを拡散している」「コロナワクチンを接種すると、5Gの電波に操られてしまう」「ドナルド・トランプが日本人ひとりにつき6億円配布する」……SNS上では、まるでSFや夢物語のような意見を大真面目に語り合うコミュニティが無数に存在する。彼らの現実離れした主張は「陰謀論」と呼ばれ、時に揶揄の対象にもされているが、本人たちは「真実を語っているせいで攻撃されるのだ」とさらに陰謀論にのめり込んでいくようだ。

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 そんな中、SNS上で「身近な人間が陰謀論にハマってしまった」という悲鳴が上がっている。「友達に『コロナは政府が仕掛けた茶番』とお説教をくらわされた」「夫が『コロナワクチンは危険だ』という思想に染まったせいで、自分は接種できないかもしれない」「『ワクチンを打ったら身体に磁石がくっつくようになる』という動画を母親から見せられた」といった体験談は多く、「そのせいで相手と距離を置いた」「絶縁した」という声もある。

 もしかすると、「陰謀論のせいで疎遠になった相手がいる」というのは、もはや珍しくない出来事なのかもしれない。しかし、親しい友人や家族が相手となると、なかなか距離を置くのも難しい。身近な人が陰謀論にのめり込んだら、どう接するべきなのか。

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 近著に『こんなに怖いコロナウイルス 心の病』(かや書房)などの著書がある精神科医の和田秀樹氏はこう指摘する。

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『精神科にかかったほうがいい』と言われて逆上する人も出てくるでしょう。本人としては妄想レベルの思い込みを完全に信じているので、自分が病気と思う人は少ないです。身内や会社の同僚など、治療してもらわないと問題が生じる相手を除けば、もう妄想は治らないものと割り切って接し、否定するよりさりげなく話題を変えるというのが、相手がエスカレートするのを防ぐために無難な対応と言えます」(和田氏)

 正論をぶつければ、相手が目を覚ますとは限らず、むしろ関係性がただ悪化するだけの結果にもなりかねない。身近な人間の発言に違和感を覚えたときは、自分ひとりで対応するのではなく、早めに専門家にアドバイスを求めたほうがよさそうだ。

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