6/22(火) 8:40配信

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 ハリガネムシに寄生されたカマキリが、自分から水辺に引き寄せられるように向かう不思議な行動の仕組みを、神戸大学や弘前大学などの研究グループが世界で初めて解明した。研究内容は21日(現地時間)発行の米科学誌「カレント バイオロジー」に掲載される予定。

 解明したのは神戸大大学院理学研究科の佐藤拓哉准教授や弘前大大学院理工学研究科の岩谷靖准教授らの研究グループ。岩谷准教授はカマキリの行動計測装置などを担当した。

 ハリガネムシはカマキリの腹部から、繁殖のために水中に戻る必要があるが、カマキリが水に向かう仕組みはこれまで謎だった。研究によると、その鍵を握るのは「水平偏光」。波の振動が水平方向に偏っている光で、水面からの反射光に多く含まれる。

 実験の結果、寄生されたカマキリは、寄生されていないカマキリより、強く水平偏光に引き寄せられることが分かった。一方で水の有無、光の強弱はさほど関係がなかった。

 水平偏光は水辺の水深が深く、水底が暗いほど多くなる性質がある。このため「繁殖のため、水が枯れにくい水辺にカマキリを誘導しているのでは」との仮説も浮かび上がるという。ただ、ハリガネムシがカマキリの体にどのように働き掛けて誘導するのかは分かっておらず、今後の研究課題となる。

 ハリガネムシは一般に細長く、体が堅い虫でカマキリなどに寄生する。カマキリの尻を水面につけると中から出てくる現象が知られている。

 岩谷准教授はロボットなどが専門。「面白いことを見つけることができてとてもハッピー。研究に声を掛けてもらって、とてもうれしい」と話していた。

https://news.yahoo.co.jp/articles/2f751d7018a2091ff4e1e6519fd2cd5b7dede95e