「中止すれば数百万円のキャンセル料がかかる。中止の選択肢はなかった」

茨城県内の国立大を卒業した会社員、山村克己さん(29)と妻、梓さん(28)は今年5月、東京都内で念願の式を挙げた。

当初は昨年6月の挙式を予定していた。東京都に緊急事態宣言が発令され、2人は「安心できる来年にしよう」と延期を決めた。今年2月に開く予定だったが、緊急事態宣言が再発令。2度の延期を余儀なくされた。

「これ以上の延期は(式への)モチベーションにも影響すると思った」

結婚式を開いた理由の一つには、緊急事態宣言に対する考え方の変化もあった。「感染状況がいつになっても変わらない。どうせなら実際に顔を合わせて(式を)挙げたい」という思いが勝った。

招待客には2日前まで出欠を変えられるようにし、式場でもマスク着用や検温、パーティションを設置するなど感染対策を徹底した。2人は「やってよかった」と振り返る。



「子どもができることを考えたら、(キャンセル料に)何百万円も使う余裕なんてない」

茨城県つくば市の会社員、男性(33)も4月中旬に予定していた式を9月に延期した。

母子家庭で育った妻(34)の「絶対にやりたい。母親にウエディング姿を見てもらいたい」という言葉が決め手となった。招待客を親族のみに絞り、規模を縮小して開くことを決意した。

延期の選択はつらかった。高額なキャンセル料という金銭面の問題もあった。「子どもができることを考えたら、(キャンセル料に)何百万円も使う余裕なんてない」

コロナ前に描いていた「普通」の結婚式はかなわなかった。それでも2人は「素晴らしい結婚式だったと、思い出になる日が来るはず」と笑顔を見せる。

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2021年6月21日(月)
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