――LGBT法案は今国会での成立が見送られました。当事者たちは当初こそ差別禁止法の成立を訴えていましたが、
最終局面では「理解増進でもいいから法案が成立して欲しい」という声もありました。

稲田氏:
当事者の中には自民党案に差別解消が含まれていないことから不満・反対だという声もありましたが、
やはり前に進むためには理念法であってもまず理解増進法を作ることが必要だと、多くの当事者が成立させようと働きかけしてくれました。
ですから理解増進法の認知も広まったと思いますし、これまでLGBTに全く興味がなかった人も「そういう問題があるんだな」と認識したと思います。
成立しなかったことは大変残念でしたが、前進だったと考えています。

――次の国会提出に向けて法案の修正はありますか?

稲田氏:
私はこの合意案が与野党合意の結果であることと自民党の政策審議会の了承を得ていることは重いと思っていますが、
慎重派の中には「“不当な”差別は許されないと書いてくれれば賛成する」という人もいます。
法的にいうと差別はすべからく不当なのですが、一般用語的には“不当な”とつけてもおかしくはないので、文言の調整はありえると思います。

次の国会までにこの法案に慎重だった方々を回りたいと思います。皆さん基本的に仲間ですから、話せば分かると思っています。

■法案見送りは多くの当事者を失望させた「LGBT問題に取り組んだら左翼だ」は違う

――私は稲田さんを保守政治家と思っていたので、LGBT法案実現に取り組んでいると聞いたとき実は違和感がありました。
どのようなきっかけでこの問題に取り組むようになったのですか?

稲田氏:
息子の友人に当事者がいて、よく息子から話を聞いていたので、身近に感じていました。政調会長のときにアメリカで講演をした際、
LGBTの問題を人権問題の1つとしてお話ししました。
日本の国会議員が海外でLGBT問題について取り上げたのは初めてだったと聞いています。
その後帰国したら、いろいろな当事者の人から連絡を頂きましたね。

――LGBT問題に熱心な議員は、左翼やリベラルと必ず言われますね。

稲田氏:
日本では「LGBTは伝統的家族を壊す」と、右か左かというイデオロギーの話になります。
しかし私は、LGBT問題は基本的人権の問題だとずっと捉えてきたので、こうしたことに違和感を覚えていました。
当事者も思想的には右から左まで様々なわけで、思想や歴史感は全く関係ないです。
だから右か左かというのは物事の本質からずれているし、この問題に取り組んだら左翼だ、リベラルだというのは違うと思いますね。

――トランスジェンダーについて自民党内から「“その時だけ女性”がトイレやお風呂に入ってくる」
「トランスジェンダー女性がメダルをさらっていく」と反対する声もありました。

稲田氏:
「その時だけ女性」が女湯や女子トイレに入ってきたり、男性が女性の選手になってメダルを取るというのは、この法律とは何の因果関係もありません。
合意案では「性自認」の定義に、単なる「認識」ではなくジェンダー・アイデンティティの要素を入れた元々の自民党の定義を取り入れています。



――「その時だけ女性」は法案とは別の問題だと。

稲田氏:
「その時だけ女性」が女湯に入ってくるようなケースが起きれば犯罪になることもあるでしょうし、ほかの女性の人権からみてどう判断するか、
各競技で不公平が無いようにするにはルールをどうすればいいかという観点から考えるべきです。

このような問題を解決するためにも、理解増進法があったうえで政府が様々な調査、検討をすることを求められているのではないでしょうか。


////夫婦別姓や同性婚、ジェンダーギャップなどについても語ってますが長いのでソース元で
https://news.goo.ne.jp/article/fnn/nation/fnn-202046.html