スーパーに行くと、値引きで100円台になった弁当を5、6個買う。冷凍しておき、食事時に解凍して口に運ぶ。ご飯は硬い部分も。「これで数日はもちますから。おいしくないですけど…」。福岡県内の50代女性は苦笑いした

 女性は独身で1人暮らし。新型コロナウイルス禍で、パート先の飲食店が昨年春から秋まで休みになった。職場から出た休業手当は月2万〜3万円台だった。

 再開後も出勤は週1、2回。月給は平均4万円に減った。複数の医療機関に通うためお金がかかる。食を削り、体重は5キロ減った。

 困窮する人の家賃を公費で補助する制度や、公的な貸し付けで切り抜けてきたが、借り入れはいずれ返済を迫られる。仕事を掛け持ちしようにも見つからない。

 どうするか−。生活保護は扶養照会があるから避けている。「親族に連絡がいくから嫌です。一番知られたくないのが身内なのに」

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 家族に問い合わせがいくことを恐れて生活保護を受けない実態は、支援団体の調査でも浮かび上がった。

 路上生活者らを支援する一般社団法人「つくろい東京ファンド」は昨年の大みそかから今年1月3日までの4日間、相談会に訪れた人にアンケートを実施した。回答した165人のうち、受給していない128人に理由を聞くと、「家族に知られるのが嫌だから」が34・4%で最も多かった。

 法人は1月中旬、本人の承諾なしに家族に連絡しないよう求める署名活動を始め、3週間ほどで約5万8千人分が集まった。稲葉剛代表理事は「受給は高度なプライバシーであり、親族に漏らすのは自己決定権の侵害だ。今の仕組みが残る以上、生活保護は権利とは言えない」と指摘する。


 そもそも身内に問い合わせても、助けにつながることは極めて少ない。厚生労働省の2017年の調査では、扶養照会した約3万8千件のうち、金銭的な援助ができると答えたのは1%台の約600件にとどまる。

 自治体職員も実務に疑問を感じている。新潟大の中村健准教授(公的扶助論)が今年2月、福祉事務所の現役職員80人から回答を得た調査では、扶養照会を「やめた方がいい」「対象を配偶者などに狭めるべき」が53%を占めた。残る47%は「現行通りでいい」としたが、緊急連絡先の把握や本人の心の支えになるから、との理由が大半だった。

 中村准教授は昨年3月まで新潟市職員として生活保護業務に15年間就いた。「扶養照会で成果を得るのは金脈を掘り当てるようなもの。受給をためらうデメリットとてんびんにかけると、生存権を守ることの方が重要だ」。本人が拒むケースや、親族の助けを期待できない場合は控えるのが望ましいと指摘した。

全文 7/1(木) 10:49 西日本新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/935e00f003e45d50cf20a194ad5ba0afa8368d7a

1 Egg ★ 2021/07/02(金) 06:09:18.53
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