中央銀行に通貨発行権がある以上、異次元緩和で国債を爆買いし、新しく刷ったお金で政府が必要なファイナンスをし続ければ財政破綻のリスクはまずない。
しかし「紙幣をいくらでも刷れる」からといって、「信用ある紙幣をいくらでも刷れる」ことにはならない。

 通貨の信用は、それを発行する中央銀行の信用にかかっているから、その財務内容は重要だ。
私が金融マンだったころの中央銀行は、値動きの激しい資産を購入しないのが鉄則だった。
保有資産の価格が下落し、評価損を出し、それが大きくなって債務超過になれば通貨の信用が失墜してしまうからだ。

 したがって、昔の中央銀行は株など当然保有しないし、長期国債にも手を出さなかった。
長期債は同じ幅の金利上昇でも短期債よりはるかに大きく値が下がってしまうからだ。

 日銀は、他の中央銀行が決して(金融政策目的では)手を出さない株式にまで手を染め、長期債も段違いの規模で購入している。
特に後者が問題で、長期債の爆買いの結果、日銀保有国債の平均利回りはついに令和2年度上期で0.199%と0.2%を割ってしまった。
長期債に限ると0.227%にまで低下してしまったのだ。ゼロ%に近い超低金利の長期国債を爆買いしたからだ。

 平成30年度0.29%、令和元年度0.257%、令和2年度下期0.227%だった日銀保有長期債の平均利回りは、着実に、そして急速に低下しているのだ。

 現在、10年物日本国債の市場利回りは0.07%。ほんの少しだけ市中の長期金利が上昇したら、
評価損が発生することになる。私がディーラーだった時なら一晩で動く余裕しかなくなってしまった。

■国民生活は風前の灯火だ

 それも保有額が大きいだけに評価損は急速に膨らみ、日銀はすぐにでも巨額の債務超過に陥るリスクがある。
こんな危険にさらされている中央銀行は世界でも日銀以外にはない。
債務超過になれば、日銀の信用は失墜し、その発行する通貨は紙くず化し、ハイパーインフレになることは想像に難くない。

 ハイパーインフレとは債権者からの債務者への富の移行である。債権者である国民の巨額の個人金融資産は、債務者である国へと実質的に移行してしまう。

 たしかにハイパーインフレで、国が国民の富を強制的に没収すれば究極の財政再建が成る。
その意味では国の財政破綻の可能性を考える際、「一国の財政に余裕があるか否か」は重要なことかもしれない。没収するお金がたくさんあるからだ。
しかし財政再建が成ったところでハイパーインフレに苦しむ国民は地獄を味わうことに変わりはない。約2000兆円の個人金融資産があっても、国民生活は風前の灯火なのだ。

 私が「一国の財政に余裕があるから財政出動を! 」などとの暴論はいけないという理由だし、
米国が、財政の持続性を考える際「一国の財政に余裕があるか否か」をまったく気にしていない理由でもある。

 いつも申し上げるように、すでに事態は厳しい。耳に心地よい財政楽観論の甘言に騙されてはいけない。
ハイパーインフレからご自身や家族を守るためにも、ドルを買うことを基本とした資産防衛策を練らなければらない。日本円だけを握りしめていれば、日本人は総じて貧乏になってしまうだろう。

藤巻 健史(ふじまき・たけし)

(全文はソースにて)
https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/20210704-00047309-president-column

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