2021/07/05 16:36
著者:波留久泉

国立天文台と統計数理研究所(統数研)は7月2日、ディープラーニング技術を利用して、宇宙を観測して得られたダークマターの地図に含まれるノイズを取り除く方法を開発したと発表した。
同成果は、国立天文台/統数研の白崎正人助教、東京大学の森脇可奈大学院生、千葉大学統合情報センターの大木平研究員、東大の吉田直紀教授、統数研の池田思朗教授、京都大学 基礎物理学研究所の西道啓博特定准教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、英国の「王立天文学会誌」に掲載された。
宇宙に存在する物質のうち、我々の身体や恒星など、触れたり、何らかの電磁波で観測したりできる通常の物質はおよそ20%しか存在せず、残りは、通常物質とは重力でしか相互作用しないダークマターであると考えられている。

しかし、そのダークマターは謎の存在であり、その正体を解明するためには、まず宇宙のどこにどの程度存在するのか、つまり「ダークマターの地図」を作り上げることが重要だとされる。直接光学的に観測することは不可能だが、重力レンズ効果を利用することで、間接的にダークマターがどこにどの程度存在しているのかを推定することが可能だとされている。
さまざまな方向にある銀河の像の歪みを統計的に処理し、その方向の量を見積もることで、ダークマターの地図が得られる仕組みで、重力レンズ効果を利用して描くことから、ダークマターの地図は「レンズマップ」とも呼ばれているという。
世界中でこうした観測は行われており、国立天文台のすばる望遠鏡でも精力的な銀河サーベイ観測が2014年から実施中だ(2021年内に全観測スケジュールを終了できる見込み)。すばる望遠鏡では、超広視野主焦点カメラ「Hyper Suprime-Cam」(HSC)を用いて、広い領域を観測して多くの銀河を捉えて重力レンズ効果による歪み具合を調べ、ダークマターの地図を描き出そうとしているのである。
     ===== 後略 =====
全文は下記URLで
https://news.mynavi.jp/article/20210705-1915901/