4日投開票の都議選、地域政党「都民ファーストの会」から出馬して再選した木下富美子氏(54)=板橋区選挙区=が、免許停止期間中に人身事故を起こした問題で、都議会局や都選挙管理委員会には「辞職するべきだ」「給与が出るのはけしからん」など430件以上の抗議が寄せられている。木下氏は都民ファを除名されたものの、無所属の1人会派「SDGs 東京」を立ち上げて、議員を続ける意向を見せているが、今後、どんなケースなら議員を辞めることになるのか。
 木下氏は選挙期間中の2日午前7時半ごろ、板橋区高島平3丁目の交差点で、車をバックした際、停車中の乗用車にぶつかり、運転席の50代男性と同乗の女性が軽いけがをしたとされる。警視庁が自動車運転処罰法違反(過失傷害)や道交法違反(無免許運転)の疑いで捜査している。
 木下氏には6日午後時点で都議会局に電話やメールで150件以上の抗議が寄せられていたが、その後も抗議はやまず、8日夕時点で380件に増えている。内容は「木下議員に『辞めろ』など厳しいお声をいただいている」と都議会局の担当者。都選挙管理委員会にも50件の抗議が寄せられている。
 現時点では法律的には木下氏の当選は無効にならない。都選挙管理委員会の担当者は「選挙中に事故を起こしたとしても公選法に失職に問われる規定はなく、当選の選挙結果は有効だ」と説明する。ただ、交通犯罪は「その他の一般犯罪」に当たり、公選法の規定で、禁錮以上の実刑が下されると、失職になる。
 また仮に失職となった場合に議員の補充が行われるかどうかは、その時期によって変わる。選挙期日の7月4日から3カ月以内となる10月4日までに欠員が出れば、繰り上げ補充されるため、次点だった自民党元職の河野雄紀氏(51)が繰り上げで当選となる。逆に3カ月を超えた10月5日以降の時期に欠員が出ると、繰り上げはなく欠員が生じたままになる。
 都議選では、自民党が33議席で第1党となった。都民ファーストは31議席を獲得し、無所属議員も加えて32議席となるはずだったが、木下氏の除名で31議席となる見込み。今後の捜査の行方が議会の勢力図にも影響を与えそうだ。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/115398