ジョンソン英首相は、ロンドンを含めたイングランド地域で新型コロナウイルス感染対策として実施しているロックダウン
(都市封鎖)を19日に全面解除し、経済活動を再開させる方針だ。

しかし、実行に移せば、これまで首相が従っていた助言を提供してきた科学者の一部から、不安視する声が出てくるのは間違いない。

英国は世界で最もワクチン接種が進んでいる国の1つだが、新たな感染拡大にも直面している。
そこでジョンソン氏は、人々の活動を止める代わりにウイルスとの共生を目指すという「賭け」に出た。

これは、感染力の強いインド由来の変異株(デルタ株)からワクチンが人々をどれぐらい守れるかを探る世界初の試みでもある。

ジョンソン氏は、デルタ株の急速な浸透で何千人も死者が増える恐れがあると警告した後、
行動規制をほぼ全て撤廃するいわゆる「自由の日」を既に4週間先送りし、ワクチン接種率を高める努力をしてきた。

そして、足元では成人人口の86%超が1回目の接種を終え、2回とも完了した割合も3分の2近くに達したため、
19日を行動制限の最終日に定めたのだ。

ただ、インペリアル・カレッジ・ロンドンの伝染病学者アン・コリ氏は、
ロイターに対し、英国が増加を続ける感染者とともに日常を過ごせると宣言するのは早過ぎると警告。

規制解除を再び遅らせるのが有益だろうとの見方を示した。コリ氏がかかわっている統計モデルは、
ジョンソン氏が「自由の日」をいったん延期する決定を下した際の判断要素の1つになった。

コリ氏は「規制解除延期は時間稼ぎになると思う。われわれにはウイルスの感染力を低下させる介入手段がある」と述べ、
追加接種やまだ、英政府が実施を決めていない子どもへの接種などに言及している。

また、100人余りの科学者は医学雑誌・ランセットへの寄稿で、ジョンソン氏の行動規制全面解除方針を
「危険で時期尚早」と批判し、高水準の感染者数を容認するのは「反倫理的かつ非合理的」と訴えた。

これに対してジョンソン政権側は、考慮に入れるべき要素は単に伝染病学の視点だけにとどまらないと反論するとともに、
新型コロナウイルスで死者が増えても、それを甘受する姿勢だ。

ジャビド保健相は、新型コロナ以外の医学や教育、経済上の問題がパンデミックを通じて蓄積されており、
感染者数が1日当たり10万人に達したとしても、社会を正常に戻す必要があると述べた。

英国内では学校が夏休みの今こそが、今年で最も規制解除に望ましい時期だと唱える向きが存在する。
この考え方とジョンソン氏が新たな過ちを犯そうとしていると考える向きの間で激しい論争が勃発した。

ジョンソン氏は昨年、ロックダウン導入が遅きに失し、英国の新型コロナ死者数が世界有数に増加したとして批判を浴びた。

デルタ株の場合、ワクチンは感染予防よりも死亡と重症化を食い止める面で効果を発揮しているように見える。
その結果、英国の新規感染者は急増しながらも、死者数の増加ペースはそれほどではない。

具体的には、1日当たり新規感染者数は現在2万5000人超と5月半ばの10倍以上に膨らんでいる半面、
死者数は4月半ば以降ずっと1日当たり30人未満で推移。

これはワクチンが生命を救っている証拠だ、と科学者は指摘する。
https://jp.reuters.com/article/uk-covid-idJPKCN2EF0AA

【コロナ】 感染者急増のイギリスでなぜロックダウン解除? ジョンソン首相 「コロナと共生する。ともに生きていく」
https://asahi.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1625785654/