レオナルド・ダ・ヴィンチの子孫を新たに14人発見!生前の顔の復元に一歩近づく
ナゾロジー 大石航樹 2021/7/8(木)
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万能の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452〜1519)。

(略)

■天才のDNAは失われてしまったのか?

レオナルドは、画家、発明家、解剖学者、建築家、エンジニア、科学者として活躍した、人類史上最高の天才です。

ほぼすべてを独学で学び、何十冊もの秘密のノートに空想の発明品や人体解剖の図面などを書き残しました。

研究内容は他人に詮索されないよう独自の速記法で暗号化され、簡単には読めないようになっています。


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あまりにも有名な『ウィトルウィウス的人体図』

トスカーナ州アンキアーノの出身であるレオナルドは、フィレンツェの弁護士ピエロ・ダ・ヴィンチと、カテリーナという農民の女性との間に生まれました。

先行研究によると、レオナルドが生まれた当時、カテリーナは15歳の孤児であったことが示唆されています。

5歳になった幼いレオナルドは、アンキアーノから約30キロにあるヴィンチ村(家族の姓の由来)の祖父母のもとで暮らすようになったという。

異母兄弟が少なくとも22人いたそうですが、彼自身は1519年5月2日に67歳で亡くなるまで結婚せず、子どももいませんでした。

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レオナルドの自画像(トリノ王宮図書館所蔵)

レオナルドの埋葬は、フランスのロワール渓谷にあるサン=フロランタンの礼拝堂で行われたと記録されています。

礼拝堂はフランス革命後に廃墟となり、その後取り壊されましたが、跡地から男性の全身骨格が発掘され、近くのサン=ユベール礼拝堂に移されました。

しかし、この骨格がレオナルドのものであるという証拠は残されていません。

それを確かめる方法が、レオナルドの家系図を再構築し、存命の子孫を見つけることなのです。

どういうことでしょうか。

■血縁関係にある「14人の子孫」を新たに発見!

今回の調査は、イタリアの歴史学者であるアレッサンドロ・ヴェッツォシ(Alessandro Vezzosi)氏とアニェーゼ・サバト(Agnese Sabato)氏の主導で行われました。

両氏は10年の歳月をかけて、レオナルドの5つの系統を追跡し、新たな家系図を再構築しています。

その結果、全体の家系図は690年にわたり、5つの系統、のべ21世代におよぶことがわかりました。


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再構築された家系図の一部
1331年の先祖ミケーレからスタートし、レオナルドはその6代目に位置していたとのこと。

さらに家系図を追っていくと、新たに14人の存命の子孫の存在が明らかになりました。彼らは会社員やパティシエ、鍛冶屋、椅子張り職人、磁器販売員、芸術家など、さまざまな職業に就いていたそうです。

両氏いわく、「子孫のDNAは礼拝堂の保管されている遺骨がレオナルドのものかどうかを確かめるのに重要な役割を果たす」とのこと。

というのも、父から子に受け継がれるY染色体は、25世代にわたってほとんど変化しないことが分かっており、それをもとにすれば、遺骨と子孫のDNAの近似性を比較できるからです。


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ヴェッツォシ氏とサバト氏
もし遺骨がレオナルドのものと特定できれば、「DNA表現型解析(フェノタイピング)」を用いて、目や髪、皮膚の色を割り出し、3D上で生前の姿を復元できます。

また、同プロジェクトの代表は、声明で「レオナルドのDNAを解析することは、彼の並外れた才能、とくに視覚的な鋭さを遺伝子との関連付けによってより深く理解することができるだろう」と述べています。

チームは今後、新たに判明した子孫のDNAを解析し、遺骨と比較する予定です。

万能の天才は、一体どんなご尊顔をしていたのでしょうか。