静岡県熱海市の土石流発生から10日で1週間。

市が手配した2カ所のホテルで避難生活を送る被災者は約570人に上る。
「個室で安心」「風呂や冷房がありがたい」。設備の整った宿泊施設で一息つく人は多いが、「いつまでここにいられるのか。先が見通せない」と懸念の声も上がる。


市が手配した「熱海ニューフジヤホテル」は、新型コロナウイルスの影響による縮小営業を中断して被災者を受け入れ、原則1世帯に1部屋が割り当てられている。
1階ロビーでは、水や衣類などの物資が配布され、市の保健師らが心身のケアに当たる場所も設けられている。

「ホテルニューアカオ」には、介護施設の入所者と職員計55人が避難。ホテル側は「集団生活が送れるように」と、広い宴会場などを用意した。

自宅が断水し、家族3人で4日からニューフジヤに身を寄せる女性(50)は「家族だけの話がしやすく安心」と個室での生活にほっとした様子。
ツインベッドと布団が用意されたといい、「初日は不安で眠れなかったが、今は熟睡できる」と話した。

朝と夜の食事はバイキング形式で、大浴場も使えるといい、大学4年の横田さくらさん(21)は「被災したことを除けば、恵まれた環境」。
ホテル内で知人に会った時には「生きてた、良かった」と無事を喜び合ったという。

市は16日までニューフジヤを避難先として確保したが、その後は「未定」としている。
妻と2人で避難中の田中均さん(64)は、自宅と車を流され、「帰る場所がない。考えると涙が出そうだ」と語る。避難生活の先行きは見えないが、「前向きに考えていくしかないよ」と気丈に振る舞った。 

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2021年07月09日20時40分
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