男子高校生ら「副反応の心筋炎や心膜炎が心配…」 それでも厚労省がワクチン接種を勧める理由
東京新聞2021年7月12日 11時28分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/116148

 記者の親戚の男子高校生と話して驚いた。聞けば「副反応の心筋炎が心配だから、新型コロナウイルスワクチンの接種に迷いがある。周りの友人でも打たないという意見が多い」という。厚生労働省の専門部会で6月下旬、米ファイザー製ワクチン接種後の若年層の男性に心筋炎や心膜炎が起きる事例が報告されたのが影響しているようだ。若い男性はワクチンを接種するべきなのか、やめておいた方がいいのか? 調べてみた。 (デジタル編集部)

◆国内外で「思春期や若年」「男性」により多く

 米ファイザー製のワクチンは12歳以上の接種が認められており、各自治体も12歳以上を対象に接種券を送付している。

 厚労省が開設したサイト「新型コロナワクチンQ&A」には最近、「ワクチンを接種すると心筋炎や心膜炎になる人がいるというのは本当ですか」という項目が設けられた。

 それによると、海外で新型コロナワクチンの接種後に起こった症状として、軽症の心筋炎・心膜炎の事例が報告されているという。特に「1回目よりも2回目のワクチン接種後」に、「高齢者よりも思春期や若年成人」に、「女性よりも男性」に、より多くの事例が報告されており、国内でも、同様の報告がみられているとしている。男子高校生がワクチン接種に不安を感じるのも理解できる。

 しかし、厚労省はサイト内で「頻度としてはごく稀(まれ)」と強調。心筋炎や心膜炎の専門家によると、軽症の心筋炎・心膜炎は治癒する病気で、循環器の通常の診療体制で対応できるという。また専門家は「若い世代では新型コロナウイルスに感染した場合にも心筋炎になることがあり、ワクチンを接種した場合よりも、はるかに高い頻度だ」と指摘。そのため「ワクチン接種により感染の重症化予防を図るメリットの方が圧倒的に大きい」との見解を示し、若い男性にもワクチン接種を奨めている。

 ワクチン接種後の心筋炎や心膜炎の典型的な症状としては、ワクチン接種後4日程度の間に、胸の痛みや息切れが出ることが想定されるといい、こうした症状があった場合は医療機関を受診した方が良さそうだ。