新型コロナウイルス対応の4度目となる緊急事態宣言が12日、東京都に出された。

 前回の宣言解除からわずか21日。感染拡大の「急所」と言われる飲食店には、再び酒類の提供停止が要請された。我慢の日々が、また続く。

 東京・新橋の焼き鳥屋「山しな」。仕込みをしていた店主の山科昌彦さん(46)の話に耳を傾けた。

 こんなに早く、またお酒が出せなくなるとはね……。これまでの要請は全部受け入れてきた。お酒が出せないと、売り上げは8割減る。開店した2006年以来の危機だね。

 【都内の飲食店は昨年4月以降、営業時間の短縮要請を断続的に受けている。3度目の宣言となった4月25日からは、酒類の提供停止の要請も加わった】

 要請に従っているのに、「なぜ酒がないのか」と、お店に来ようとするお客さんから毎日のように言われて。時には怒鳴られたことも。気分が落ち込んだし、正直者が馬鹿を見る感じ。宣言の効果が薄れた表れなんじゃないかな。

 3度目の宣言が解除された時は、お酒の制限は最後だろうと思ったんだけどね。都が配った「お酒の提供を中止しています」というポスターも、すぐに捨てちゃったよ。

 【政府は今回の宣言に際し、協力金の前払いも検討するとしている】

 最初からそうしてくれって。協力金は、申請から3〜4カ月かかったこともあった。周りの店を見ると、時短営業を受け入れず、酒を提供する店もある。協力金が早ければ、そういう店もここまで増えなかったと思うんだけどね。

 【西村康稔経済再生相は酒類を提供する店について、金融機関に働きかけるよう求める考えを示し、批判を受けて撤回した】

 上から目線だよ。対策は必要だけど、他の方法があるでしょ。従業員の雇用を守るため、やむなく営業する店があるのもわかる。現場のことをわかっていないから出た発言だろうね。

 でも今回も、時短と酒の提供中止を受け入れるよ。要請通りにして、「どこまでできるかやってやろう」っていう、負けず嫌いの意地もあるよね。守り切れば、思いっきり文句を言っても許されるでしょ。(藤野隆晃)

2021年7月12日 21時46分 朝日新聞
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