英中銀は「資産買い入れ中毒」、上院経済委員長が批判
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[ロンドン 16日 ロイター] - 英議会上院(貴族院)のマイケル・フォーサイス経済委員長は16日公表のリポートで、イングランド銀行(中央銀行)は資産買い入れプログラムの「中毒に陥っている」と指摘、インフレが高進する中で買い入れ縮小に動いていない理由を明確に説明すべきだと訴えた。

国債を中心とする中銀の累計買い入れ額は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)開始以来、倍増しており、現在は約8400億ポンドに上る。現在の買い入れ期間が終了する年末までに、8950億ポンドに達する見通し。

フォーサイス委員長は資産買い入れプログラムの効果や、富の格差への影響について、中銀のさらなる説明が必要だと主張。「中銀は量的緩和(QE)の中毒に陥った」とした。同氏は与党・保守党に所属している。上院は選挙で選ばれない貴族などで構成される。

同氏は「QEは公的財政の長期にわたる健全性に深刻な危機をもたらている。QE解除をどのように進めるかについて明確な計画が必要で、それを公表する必要がある」とした。

経済委のメンバーには中銀が2009年に資産買い入れ開始を決めた際に総裁を務めたマービン・キング氏が含まれている。

リポートは、コロナのパンデミック下で中銀が財政ファイナンスを目的に国債を買い入れているのは明白だとし、中銀の信認を脅かしていると論じた。

中銀はこの批判に対し、資産買い入れは単に経済と金融市場の安定化を目的としており、中銀の責務に沿っていると反論。

中銀の広報担当者は「金融政策委員会が危機時の財政ファイナンスという別の政策を追求したと指摘するのは間違いだ」と強調した。