米国の景気循環を認定する全米経済研究所(NBER)は19日、新型コロナウイルスの感染拡大と経済活動の規制に伴う景気後退期が2020年4月に底を打ったと発表した。20年3月に始まった景気後退期は、米史上最短となる2カ月間で終了した。

 今回の認定により、米経済は20年5月から景気拡大期に入ったことになる。前回の景気拡大期は09年6月から20年2月まで128カ月間と米史上最長だった。

 NBERは景気循環を判断する際、雇用と生産の動向を重視している。今回の判断では、米労働省の集計する就業者数などの雇用統計と、国内総生産(GDP)の7割を占める個人消費の動向を示す実質個人消費支出(PCE)が「20年4月に明確に底打ちした」と分析。「20年5月以降に通常の経済活動が始まった訳ではないが、景気回復の期間と力強さを踏まえて判断した」と説明した。

 これまで史上最短の景気後退期は、第2次石油危機の影響を受けた1980年2〜7月の6カ月間だった。NBERは「これまで景気後退期は少なくとも2〜3カ月を超える不況を指してきたが、今回は雇用と生産の落ち込みが前代未聞の大きさだったことから、(2カ月間であっても)景気後退期だったと判断できる」としている。

 NBERは1920年創立され、経済学教授ら1000人超の会員を抱える米国最大の経済学の研究組織。米スタンフォード大教授のロバート・ホール委員長ら委員8人でつくる「景気循環期間確定委員会」が米国の景気循環を決定している。【ワシントン中井正裕】

毎日新聞 2021/7/20 07:01(最終更新 7/20 07:01) 642文字
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