こうした中、21日には全ての競技に先立ち、ソフトボール日本代表の試合が原発事故の被災地・福島県で行われます。

 「復興五輪として福島の地でスタートされることを、どういう意味があるんだろうと考えてきた。熱い思いをテレビを通して伝えていけるよう、しっかりプレーしていきたい」(上野由岐子投手〔先週〕)

 東京オリンピックをめぐって政府は、ことあるごとに「復興五輪」を掲げてきました。

 「復興五輪と銘打って復興した姿を世界に発信したい」(安倍晋三前首相〔2018年11月〕)

 ところが、ここにきて「復興五輪」という理念は揺らいでいます。当初、組織委員会は福島など被災地の食材を世界に発信するとしていましたが、選手村に設置された24時間営業の食堂「メインダイニング」で提供される食材に産地表示がされていないのです。福島市でモモの観光農園を営む農家は、肩を落とします。

 「(客は)震災前の数値には、3割くらい戻っていない。風評被害なんだろうね、福島の桃食べないっていうお客さん居ると思うよ。そこでオリンピックが成功してくれたら良かったんだけどね」(観光農園を営む 紺野淳さん)

 福島でのオリンピックが決まり、「福島の魅力を世界中に伝えられる」と期待していましたが、無観客での開催が決定。そして、選手村の食堂で産地を表示しないことについては・・・

 「ここにきて産地表示しないって、よく意味がわからない。オリンピックが(復興の)弊害になっている様な気がする」(観光農園を営む 紺野淳さん)

 組織委員会に選手村のメインダイニングで「福島産」という産地を表示しない理由を尋ねると・・・

 「同じ品目でも産地の異なる物が混在し、提供時間によって産地が変わるなどの運営が想定されることから、提供時の表示ではなく、後日WEBサイトで公表することを検討しています」(組織委員会)

 オリンピックをきっかけに、原発事故の実害と風評に苦しむ福島の人たちの思いを世界に届けることはできるのでしょうか?(20日17:07)

https://www.mbs.jp/news/sp/zenkokunews/20210720/4319276.shtml