2021年07月20日(火)20時00分
岩澤里美(スイス在住ジャーナリスト)

<今もなお多くの人を魅了して止まないスターが、また高原の美術館にやってきた──>

他界してから28年経ったいまも20世紀最高の美女と称えられ、世界中の人々に愛されているオードリー・ヘプバーンはスイスと縁が深かった。スイスで2度挙式し、息子2人を自然豊かなこの地で育てた。長男ショーン(現在61歳)が生まれてから購入したスイス西部レマン湖畔のトロシュナ村の家に住み、1993年に63歳で亡くなるまでおよそ30年間暮らした。
村に隣接する町モルジュの美術館「エクスポ・フォンダシオン・ボレー Expo Fondation Bolle」では、数年来、主に夏季にヘプバーンの展覧会を開催している。昨年は未開催だったが、今年7月初めから2か月の予定で「スイスにいたオードリー・ヘプバーン」展が始まった。






3部屋だけの美術館エクスポ・フォンダシオン・ボレー

ヘプバーンの展覧会は日本でも開催されているが、定期的に展示が行われているのはヨーロッパではこのエクスポ・フォンダシオン・ボレーのみだ。ヘプバーンが再婚の式を挙げたモルジュは、彼女の後半生の生活圏で、この町で買い物したりお茶を飲んだりしていた。

同美術館は、ジャン・ジャック・ボレー氏が2006年に作った財団フォンダシオン・ボレーが運営している。財団には主に3つの目的がある。@ボレー家が所有する歴史的な建物やブドウ畑の保護、Aワイン作りや狩猟をはじめとするモルジュ地域を中心としたレマン湖周辺に関する文化的な活動の推進、
Bエクスポ・フォンダシオン・ボレーで地域に根差したテーマの展示およびオードリー・ヘプバーンのための展示の実施だ。エクスポ・フォンダシオン・ボレーは、ヘプバーンのオリジナル写真やドキュメント、彼女に関する雑誌などを所蔵している。

同美術館は、18世紀の邸宅を利用している。入り口を入るとレセプションで(入館料は約700円)、2階の展示エリアには3部屋ある。1番大きい部屋には、現在、壁にヘプバーンの一生の年表が描かれ、彼女に関する雑誌記事がいくつか展示されている。
部屋の中央には彼女のドレス3着、窓際には黄色いスーツ1着が飾ってある。彼女のファッションを作り続けたユベール・ド・ジバンシィが彼女のために作った香水ランテルディの展示ケースも置いてある。ソファが置かれたコーナーでは、座って彼女に関する書籍を読むことができる。
中サイズの部屋には、トロシュナ村の自宅の庭で撮った写真5点が飾られ、テレビのドキュメンタリーシリーズ『オードリー・ヘプバーンの庭園紀行』の映像が流れている。花が好きだった彼女の様子が伝わってくる。
     ===== 後略 =====
全文は下記URLで
https://www.newsweekjapan.jp/stories/woman/2021/07/post-555_1.php