仙台市長選に合わせ、河北新報社は仙台以外の県内34市町村長にアンケートを実施し、熊谷大利府町長を除く33人から回答を得た。仙台で新型コロナウイルス感染が拡大すると、地元に影響が「ある」と全員が答えた。今後、仙台市が積極的に取り組むべきコロナ対応は「ワクチン接種の加速化」が66・7%と最も多かった。

 仙台の感染拡大の具体的影響は通勤・通学で往来する住民の存在が大きい。山田司郎名取市長は「ストレートに感染増につながる」と指摘。「仙台市からの観光客の減」(佐藤仁南三陸町長)との回答もあった。

 取り組んでほしいコロナ対応は「その他」「なし」を含め、七つの選択肢を用意。ワクチン接種の加速化を選んだ理由は「感染拡大を防ぐ最も有効な手段」(県中部の首長)と効果への期待が目立った。山田裕一白石市長は、仙台で接種が進めば「県の支援が他市町村にも向く」と答えた。

コロナ対応、9割がおおむね評価
 ワクチン接種以外は「飲食店などの感染防止対策」(12・1%)「入院病床の確保」「検査態勢の拡充」(ともに9・1%)と続き、予防策や医療提供体制の充実を望む傾向があった。「経済対策や観光誘客」と「その他」はゼロだった。

 仙台市のコロナ対応に関しては「大いに」「ある程度」を合わせ90・9%が評価した。「あまり評価しない」は6・1%。「全く評価しない」はいなかった。

 高評価の理由は、飲食店への時短要請など県と連携した取り組みが奏功し、感染が一定程度抑えられているとの声が大半を占めた。「多くの課題の中で対応するには限界がある」(佐藤光樹塩釜市長)と、仙台の人口規模や政令市の立場をおもんぱかる首長もいた。

 村上英人蔵王町長は「ある程度評価」と答えつつも「ワクチン接種は大規模接種会場に頼っている面がある」と指摘。「あまり評価しない」とした県北部の首長は、保健所の検査態勢や市立病院の病床確保が物足りないとして「県都の責任、機能を十分に果たしていない」と批判した。

県と「あまり連携できていない」9%
 感染対策やワクチン接種を巡る市と県の連携も聞いた。「十分」「ある程度」を合わせ90・9%が「連携できている」と評価した。

 「あまり連携できていない」(9・1%)と回答した3人のうち、1人は「保健所の連携、ワクチン接種体制、飲食店の感染防止対策などで、事前の調整やスキームづくりが不十分」と厳しい意見をつづった。

 コロナ対応を含め、郡和子市長の1期目の市政運営は「ある程度評価」が72・7%と最多だった。「大いに評価」は15・2%、「あまり評価しない」は3・0%。「全く評価しない」はいなかった。

河北新報 2021年07月23日 12:28
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