後遺症の症状は実にさまざまだ。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究者が
ロングコービッド患者(推定患者を含む)を調査したところ、幻視や動悸(どうき)、記憶喪失など200以上に上った。

だが、一部の症状はかなりの頻度で表れている。

ロングコービッド患者の大半は、筋肉の痛み、睡眠障害、息切れなどとともに、最大の症状として倦怠(けんたい)感を挙げている。
インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究者が実施した大規模調査で分かった。

より小規模な患者グループでは、息切れ、胸の痛みや圧迫感など、呼吸器系の症状が圧倒的に多かった。
別の研究では、「脳の霧」と呼ばれる認知に支障が出る症状も患者に共通してみられた。

コロナ感染が深刻だった患者ほど後遺症に苦しむ可能性が高いものの、軽症の場合でも、相当な数の患者が後遺症を患っている。

英国全体で無作為に抽出した50万人を対象とするインペリアルの調査によると、軽症者2万1454人のうち、約25%は少なくとも1つの症状が12週間以上続いた。
重症者ではこの割合は約50%となった。研究結果は査読前の論文を公開するプレプリント・サーバー「MedRxiv」に掲載された。

ロングコービッドは、重症化や死亡するケースが少なかった若者層でとりわけ顕著である点において警戒されている。
インペリアルの研究の臨床試験では、18〜24歳の若者層のうち意図的にコロナに感染した人のおよそ3割で、少なくとも1つの症状が12週以上続いた。

ハリー・ボビーさん(23)も、そのような症状に苦しむ1人だ。英国の元柔道チームのメンバーだったボビーさんは、
昨年9月に軽度のコロナに感染するまで、1週間に5回はジムで汗を流していた。今では懸垂を数回やるだけで、何日も起き上がれないという。

「まだ自分の体じゃないみたいだ」と話すボビーさん。緩やかな運動でも「骨が砕かれるような倦怠(けんたい)感」があるという。
また記憶喪失から、錯乱する、涙ぐむといった精神障害的なものまで、神経系の症状にも苦しんでいる。

これまで2度、それぞれ3カ月にわたり病欠で仕事を離れたという。

ロングコービッドはさまざまな原因により、複数の重複する症状からきている可能性が高いと研究者はみている。
原因を特定するため、複数の大規模な研究が現在進められている。これまでウイルスが何らかの自己免疫状態を引き起こす、
多岐にわたる器官に身体的な打撃を残す、ウイルスが感染後も体内に長期にとどまるといった仮説が有力視されている。

効果が証明されているロングコービッド治療薬はまだない。だが英国の研究者は、広く使われているアスピリンなど抗炎症薬や痛風治療薬コルヒチン、
抗ヒスタミン薬などが治療に有効かを調べる治験に乗り出した。一方、コロナ後遺症専門の診療室を設ける病院も出てきている。

ワクチン接種者がブレークスルー感染(ワクチン接種後の感染)した場合、ロングコービッドにかかりにくいのかどうかはまだ分かっていない。
だがワクチン接種により、感染を防ぐのと同程度までには、ロングコービッドになる確率を下げるはずだと研究者らはみている。

ただ、米国ではまだ半分以上がワクチン接種を完了しておらず、その大半は若者層だ。
そのため依然として、数百万人がコロナ感染とロングコービッドのリスクにさらされている。

コロナ後遺症患者の中でも、なぜ症状の深刻さに差があるのか、もしくはなぜ感染から数カ月が経過してもなかなか回復できない患者がいるのかははっきりしない。
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1362836.html