「集団免疫」を獲得か――。ワクチン接種が進み、感染者が減少している英国で、「ついに集団免疫を獲得したのではないか」と専門家の間で議論となっている。

デルタ株に直撃された英国は、この夏、感染者が急増。7月17日には1日の新規感染者が5万4000人を超えてしまった。
それでも英国政府は7月19日、人口の85%が集中するイングランドで、マスク着用義務などの行動規制を撤廃。

さすがに、世界各国の専門家が医学誌ランセットに「危険で非倫理的な実験に乗り出している」と批判する書簡を連名で寄せた。
ところが、懸念をよそに、新規感染者は7月17日を境に減少。その後、若干の増減があったが、21日から7日間連続で減り続け、
8月2日現在、感染者は2万2000人と、2週間前の規制撤廃日から45%にも減っているのだ。

行動規制を解除したのに、逆に感染者が減少していることに、科学者は当惑しているという。

ワクチン接種が進む英国では、成人の73%が2回目の接種を完了している。
英紙デーリー・テレグラフは、デルタ株流行の収束には人口の93%が免疫を獲得する必要があると報じ、
英国家統計局によると、イングランドでは成人の92%が感染やワクチン接種によって抗体を獲得しているとみられるという。

感染者の減少に対して、科学者から「集団免疫獲得に近づいている」との指摘が出る一方、
「検査件数が少ないからではないか」との声も上がっている。

どう考えればいいのか。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏(内科医)はこう言う。

「まだ、ハッキリしたことは言えませんが、季節の変動が影響している可能性があります。
新型コロナには、季節性があることが分かっています。人流と関係なく、夏と冬に流行する。しばらくすると、人流と関係なく感染者が減っていく。

英国の感染者が減ったのは、夏の流行が終わったのかも知れません。もちろん、ワクチンの効果もあると思います。
この先、集団免疫を獲得できたら、新型コロナも普通の風邪のようになり、感染は防げないが、重症化はしなくなると思います」

ワクチン接種が遅れている日本は、いったい、いつになったら集団免疫を獲得できるのか。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/292949