新型コロナウイルス感染症(Covid-19)にかかった人のほとんどは、数週間で回復する。
だが、中には症状の改善に非常に長い時間がかかる、あるいはまったく良くならないようにみえる人たちがいる。

米疾病対策センター(CDC)によれば、「COVID-19の後遺症」は、感染後「4週間以上にわたり、
健康状態にさまざまな影響が出る」ことだ。体のどの部分にどのような症状が出るか、それは個人によって大きく異なる。

一般的な症状として挙げられるのは、倦怠感、不眠、気分の変化など。さらに臓器別に見ると、主に次のような症状が報告されている。

肺:息切れ、咳、胸痛/心臓:動機、頻拍、動、立ちくらみ/神経系:ブレインフォグ(脳の霧:思考力や集中力低下など)、
頭痛、しびれ、嗅覚・味覚の変化/胃腸:下痢、腹痛

なぜ新型コロナウイルスが「後遺症」を引き起こすのか、原因は分かっていない。ただ、感染後に長期的な影響を及ぼす可能性があるのは、このウイルスだけではない。

西アフリカで2014〜16年、エボラウイルスへの感染によるエボラ出血熱が流行したときには、回復した数千人に、似たような慢性的な症状
(筋肉・関節の痛み、頭痛、集中力の低下、発疹、視覚障害など)が出ていることが報告された。

エボラウイルスの感染者はこれ以前にも確認されていたが、遠隔地に集中していたために回復した人が少なく、
後遺症の問題は明確に把握されていなかった。

また、エボラ出血熱から回復した人たちの中には、体内(脳、目、精巣など)にエボラウイルスが生きたまま残っている人たちもいる。
なぜ症状が出る人と、そうでない人がいるのか、今のところ理由は明らかにされていない。

一方、回復後に慢性的な症状が続く感染症は、ウイルスによるものだけではない。
例えば、細菌によって引き起こされるライム病でも、後遺症に苦しむ人たちがいる。その原因究明と適切な治療法の確立については、もう何十年も研究が続けられている。

確かに、原因がはっきりしていないことは、いら立たしいことだ。
だが、医学界が問題を認識しているということは、研究が行われ、いずれ病因が明らかにされると期待できるということでもある。

Covid-19については、特定の基礎疾患(高血圧、心臓病、肥満、糖尿病、免疫系の問題など)が重症化の要因であることが分かっている。
だが、基礎疾患がなく、軽症で回復した人にも、後遺症は残る可能性がある。

パンデミックが(変異株の「デルタ株」によって)また新たな局面を迎え、ワクチン接種率が低い地域で感染者が急増する中、
これまで接種に前向きではなかった人たちにも、この「後遺症のリスク」は、接種を受けるきっかけになるのではないだろうか。

夏の夜、外にいると蚊に悩まされることを考えてみてほしい。
虫よけをたっぷり塗っても、うるさい蚊はそれが十分に塗られていない部分をどうにか探し出し、血を吸う。

ウイルスもそれと同じように、接種を受けていない人を「探し出し」、感染させる。
そして短期的、長期的に多大な影響を、感染した人の体に及ぼす──そうした影響を受けるのは、時間の問題ともいえる。

自分自身、または身近な人が感染し、後遺症に悩まされている、あるいは感染前の健康状態に完全には戻らないという人は、
ぜひ医師に相談してほしい。Covid-19の後遺症に悩む人たちを支援する団体も活動を始めている。

参加すれば、必要なリソースや臨床試験に関する情報を入手することができるだろう。また、同じ経験をしている人たちと、情報を交換することもできるはずだ。
https://forbesjapan.com/articles/detail/42709