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新型コロナウイルスの新規感染者数が連日、過去最多となっている。霊長類学者の正高信男さんは「人々の行動を変えるためには、サルの研究で判明した『嫌悪学習』を応用するといい。たとえばコロナ感染で苦しむ人の姿をメディアで報じれば、自粛の効果が期待できるはずだ」という――。
※本稿は、正高信男『自粛するサル、しないサル』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。

危険な体験はたった一度で長く記憶される
もう40年も前のことになりますが、長野県に生息する野生ニホンザルにアーモンドの実を与える実験を行った研究者がいました。山に暮らすサルで、アーモンドは日本列島には自生しないのですから、彼らがアーモンドの実にそれまで接したことがないのは明白。つまりナイーヴな状態であるといえます。

野生の若い日本のサル写真=iStock.com/hirohito takada※写真はイメージです
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といってもクリやシイの木の実にはなじみがありますし、好物ですから、見てそれが食べられそうな代物であることぐらいは察しがつくというものです。試しに口に入れてみて、食べられることをすぐに理解したといいます。

サルに理解させたうえで、研究者はアーモンドの実に催吐剤をふりかけ、彼らに与えてみたのでした。催吐剤とは、摂取するとしばらくして嘔吐を引き起こす薬剤のことです。するとサルは口に入れてしばらくすると、やはり嘔吐したということです。もっともこれだけでは、ヒトに有効な催吐剤はサルにも効く、という話でおしまいです。問題は、そこからです。

追跡調査をしてみると、この嘔吐の経験