福岡県糸島市の芥屋(けや)海水浴場で溺れた男子高校2年生(17)を救助したとして、
唐津海上保安部は6日、福岡市東区の主婦、中山まゆこさん(37)に感謝状を贈った。
シンクロナイズドスイミングの経験を生かし、約2メートルの海底に沈んだ男子生徒を素潜りで引き上げ、
呼吸の気道を確保して浜まで運んだという。

唐津海保の林亮治部長は「勇気と迅速的確な判断、卓越した救助技術で未来ある高校生の命を救った」とねぎらった。

男子生徒は7月23日、同県小郡市から海水浴場に来て、約40メートルの沖合で高校生の友人2人と浮輪で遊んでいたという。
午前10時50分ごろ、10メートルほど離れて、実母と次男(5)、三男(3)と一緒だった中山さんは
「溺れたー」との叫び声を聞き、顔を上げたクロールで駆け付けた。友人から「この真下です」と教えられ、
海中に黒い人影を確認。麦わら帽子とサングラスを外して潜り、うつぶせになった男子生徒の水着をつかみ
「1回で上げないと無理と思って力いっぱい引き上げた」。

意識を失っていたので、高校時代のプール監視員アルバイトで受けた救助訓練を思い出し、
気道確保のために男子生徒をあおむけにしてあごに手を添え、背面を抱きかかえるように「全力で泳いで」浜に搬送。
海の家から119番を受けた糸島市消防本部の救急車に引き継いだ。

男子生徒はドクターヘリで搬送された病院に経過観察のため入院。7月31日に無事退院し、
「本当にありがとう」と唐津海保に伝えたという。

「助かったと聞いて、安心して涙が出た」と中山さん。林部長から感謝状を受け取り、
「小学5年から高校1年まで続けたシンクロのおかげで、立ち泳ぎなどが出来たのが大きかった」と振り返った。
https://mainichi.jp/articles/20210808/k00/00m/040/105000c