新型コロナウイルス感染症対策を巡り、日本政府の隠蔽体質に医療従事者からも不満の声が聞かれている。

 コロナの変異株で南米ペルー由来とされる「ラムダ株」の感染者が7月下旬に羽田空港で国内初確認されたものの、13日になって一部メディアが東京五輪関係者と報道。大会期間中に関係者と公表されなかったことに対し、ネット上では批判が相次いでいる。

 ナビタスクリニックの理事長で感染症に詳しい久住英二医師も「ラムダ株自体は、デルタ株に比べて、病原性や感染力は強くないとされている」と述べた一方で「やっぱり問題は秘密主義の点ですよ。結局いつかは公開しないといけない。隠しているつもりはないかもしれないが、こういうときはとにかく情報公開をしっかりやらないと、信頼を失ってしまう」と苦言を呈した。

 東京五輪は8日に閉幕したが、東京パラリンピックは24日に開幕する。「これからパラリンピックもある中で、日本政府のコロナ対応はこれからも続いていく。隠しているつもりはなくても、そう見えたらダメなんですよ」と指摘した上で「五輪をやっていたから情報公開が遅れたとしたら『じゃあ五輪なんてろくなもんじゃないよね』って五輪のせいにされてしまう。言ってみたらアスリートの顔に泥を塗るような形になってしまう。まあ緊急事態宣言自体も東京五輪をやるから出しにくいよねっていうところはあったと思うが」と疑問を投げかけた。

 かねて米メディア「デーリービースト」は「東京五輪の期間中に報道発表から故意に致命的な新型コロナ変異種の発表を外した。日本の厚労省は、与党政権のニーズに合わせてデータを隠蔽し、変更してきた長い歴史がある」と糾弾していただけに、また1つ世界に恥をさらしてしまった。

2021年08月13日 20時37分 東京スポーツ
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