アフガニスタンで政権が崩壊したことを受け、現地で人道支援活動を続ける非政府組織(NGO)「ペシャワール会」の村上優会長は16日、西日本新聞の取材に応じ「まずは情勢を見極め、安全確保を第一に事業を継続していきたい」と述べた。会の支援を受けて現地で活動するNGO「PMS」(平和医療団)は15日から用水路建設や医療事業を中断しているという。

 PMSが活動するのは、アフガン東部のジャララバード周辺。会によると、ジャララバードがタリバンの支配下に入った際も、PMSの活動地域では武力衝突は起こらず、アフガン人スタッフが危害を加えられることもなかった。会はPMSと頻繁に連絡を取り合っており、状況を確認した上で事業の再開を検討する。

 PMSを設立した会現地代表の故中村哲医師は1991年にアフガン国内に初の診療所を開設。この間、現地では内戦や外国軍による攻撃、旧タリバン政権の樹立と崩壊など、何度も情勢が変わってきた。会は「長年にわたり中村医師と働いてきた現地スタッフには、多くの困難を乗り越えて事業を続けてきた経験がある。日本から全力で支援していきたい」としている。

 中村医師が2019年12月にアフガンで銃撃されて死去した後、村上会長が日本国内在住のままPMSのトップを兼務。アフガン人スタッフが現地で用水路建設や農業、診療所の運営を行い、会は国内から主に資金や技術面で支援している。

 (中原興平)

西日本新聞 2021/8/17 6:00
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