■日本から「長者番付」が廃止された理由
30代以降の人ならば、毎年、春に長者番付というものが発表されたのを覚えているはずです。
芸能人やスポーツ選手などの長者番付も発表され、芸能界の風物詩的なものにもなっていました。

この長者番付、いつの間にか廃止されたというイメージがあると思います。
この長者番付が廃止されたのは、あの小泉政権の時代の2006年なのです。
小泉政権の時代、竹中平蔵氏が経済政策を一手に引き受け、様々な金持ち優遇政策を行いましたが、長者番付の廃止もその金持ち優遇政策の一環だったのです。

長者番付というのは正式には、高額納税者公示制度といいます。
毎年1千万円以上の納税額がある人は、その氏名と納税額を税務署に公示するというものです。
納税額が公表されるわけですから、全国でその一覧を集めれば、分野別の高額納税者もわかるわけです。

そのためマスコミが各分野の高額納税者を集計して発表するのが長者番付というわけです。
なぜ高額納税者が公示されるのか、というと、これは金持ちへのけん制のためでした。
税務当局としては、

「ここに公示されている人のほかに、たくさん儲けている人や贅沢な暮らしをしている人はいませんか?そういう情報があったらお寄せください」

ということだったのです。
実際に、税務署では密告を受け付ける部署がありました。
そして、なぜ廃止されたのかというと、高額納税者制度は住所地が公示されるので、犯罪に巻き込まれる危険がある、ということでした。

しかし、この理由には無理があります。
住所が特定されて危険というのであれば、住所地は公表せずに、国税庁が全国まとめて公示すればいいのです。
長者番付制度は、どれだけ稼いでいるのか公表されるわけなので、脱税だけではなく、金持ちの経済姿勢に対する強いけん制になっていました。
それなりの社会貢献をしなければ、世間的にみっともない、ということです。

が、長者番付制度が廃止されたたために、世間では誰がどの程度稼いでいるのかわからず、
金持ち側としては、社会貢献などせずともこっそり稼ぐことができるようになったのです。
https://www.mag2.com/p/news/507994