新型コロナウイルスの感染者や回復した人、医療従事者らへの差別や偏見をなくそうと訴える運動「シトラスリボンプロジェクト」に賛同した、狭山市の西武学園文理高校の生徒たちが、シンボルの黄緑リボンを千五百個作った。二十一日から同市のワクチン集団接種会場に置き、訪れた市民が自由に持ち帰れるようにする。
 運動は昨年、愛媛県の有志が始めた。同県特産のかんきつ類をイメージした黄緑リボンを身に着けたり、多くの人の目に触れる場所に掲示したりして、コロナ感染者らを差別しないよう呼び掛ける。リボンの三つの輪は「地域」「家庭」「職場(学校)」の融合を表し、感染しても安心して戻ってこられる環境づくりを目指す意味がある。
 同校では生徒会が参加を呼びかけ、約五十人が五月からリボン作りを始めた。街頭での配布も考えたが、手渡しによる接触を避けるため、集団接種会場に置くことにした。対象は二十一、二十二、二十八、二十九の各日。生徒がプロジェクトの意義を伝えるメッセージ動画も会場で流す。
 生徒会長で三年の渥美翔さん(17)は「感染者や医療従事者、エッセンシャルワーカーの方々が、偏見にさらされるなんてことはあってはならない。動かなければ何も始まらないと考えた」と話した。(加藤木信夫)

東京新聞 2021年8月21日 07時10分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/125823