「コロナ禍」のアメリカで、なぜかいま「クスリ中毒で死ぬ人」が急増している…!
銃犯罪も急増している
藤 和彦 経済産業研究所コンサルティングフェロー




アメリカで「薬物中毒死」が急増している…!

バイデン米政権は7月20日で発足から半年を迎えた。巨額の財政出動とワクチン接種で新型コロナウイルス危機から経済を回復させたが、新たな問題が浮上している。

じつはいまアメリカ(米国)で薬物中毒死が急増しているのである。

米疾病対策センター(CDC)は7月12日に「昨年の米国の薬物過剰摂取による死者数(暫定値)が過去最多の9万3331人に達した」ことを明らかにした。

2019年の7万2151人から29%の増加であり、年間の伸び率も過去最高だった。米国の新型コロナウイルスによる死者数は約37万5000人だったが、薬物中毒による死者数はその4分の1の規模に上る。最近では1日当たりの薬物中毒による死者数が新型コロナウイルスのそれより多くなっている。

サウスダコダ州とニューハンプシャー州を除く48州でこうした傾向が見られ、特にバーモント州(58%)やケンタッキー州(54%)、サウスカロライナ州(52%)などでの上昇が目立っている。







コロナ禍で「薬物使用」が増える背景事情

強力な薬物が出回っていることも気になるところである。

CDCによれば、昨年の薬物中毒死のうちオピオイド(医療用の麻薬性鎮痛薬)が原因となるケースが全体の約75%を占め、2019年の5万963人から6万9710人に増加したという。

中でもフェンタニル(合成オピオイド)はモルヒネやヘロインの50倍以上の強さだとされている。パンデミック対策で国境管理が格段に厳しくなっているのにもかかわらず、メキシコの犯罪組織のせいでフェンタニルの米国への流入が加速している。

薬物中毒死はパンデミックの数ヶ月前からすでに増加していたが、最新の統計でコロナ禍によって加速したことが明らかになっている。

パンデミックが招いた精神的な苦痛や辛い体験、経済的な困窮、社会的孤立感などが引き起こした「うつ」的な感情が薬物使用を誘引し、これまで薬物に縁遠かった人までが手を出した可能性が指摘されている。

コロナ禍で様々な薬物対応プログラムが運用できなくなったことも災いしている。ソーシャルデイスタンスが求められる中、薬物依存者をサポートする団体などの活動が抑制され、リハビリ施設も不足した。助けを求める中毒患者が孤立してしまったのである。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/85818
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→20代〜50代の働き盛り世代
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