血中酸素濃度の測定用に、新型コロナウイルス感染者に貸与している「パルスオキシメーター」を巡り、兵庫県西宮市が返却を求めて電話作戦に乗り出す事態になっている。備品のため、回復後などには返すよう知らせてあるのに、260個ほどが戻ってきていないという。感染の急拡大が続く中、市は「このままでは貸与分が不足し、新たな感染者の体調管理ができなくなる」と焦りを募らせる。

 血中酸素濃度は症状の急変を知るための指標で、西宮市保健所は体温と合わせてデータシステム上で感染者の容体を把握している。指に付けて使い、95%以下になれば画面で通知される仕組みだという。

 貸与を始めて以来、これまでに1600個ほどを確保している。現在は10歳以上の感染者に送付しており、約1100個を貸し出し中。このうち260個ほどが、隔離解除から既に一定期間が経過して不要になった人の手元に残ったままだという。

 保健所などへ直接持参するか、貸与時に同封した封筒で返送できるが、市は「面倒なのか、今後に備えて確保しておきたいのか……」と推測。若年層の感染が増えている点に加え、返送に要する数百円の自己負担も、返却状況が思わしくない要因となっている可能性があるという。

 市は今月末までに追加で500個を購入予定だが、1個8000円前後と安価ではない上、全国的な感染の急拡大に伴い、医療機器メーカーから「すぐ納品するのは難しくなってくる」と伝えられている。

 市は「返却が滞れば、新規感染者に貸し出せなくなる事態も考えられる」として一人一人に電話で返却を呼びかけており、「きちんと返す」という人がほとんどだという。

 ただ、同様にパルスオキシメーターを貸与する県や明石市などでは、切手不要のレターパックを同封したり、着払いとしたりして返却を促しており、西宮市も「返してもらいやすい方式への改善も検討したい」としている。

8/22(日) 14:47 読売新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/4f9917380cc78d8bebf1d52cce55b9d3b4c7b324

写真
https://amd-pctr.c.yimg.jp/r/iwiz-amd/20210821-00050217-yom-000-2-view.jpg