▽ワクチン接種1割でも人口7割に抗体
これはインドの感染者数の推移。5月上旬をピークに、その後、激減し、今では感染者数が一日、3万人台まで減っているのがわかります。
ワクチンを2回打った人は、いまだ人口の1割ほど。にもかかわらず、なぜここまで感染者数が激減したのでしょうか?
(ニューデリー近郊に住む 中村ゆりさん)「一番大きな影響はロックダウンかなと思いますね。各州全体的に実施されたんですけど、かなり厳格にロックダウンを行うので、そこで一気に感染を封じ込めて徐々に緩和していくと」
一方で、インド政府の専門家会議のメンバー、アミット医師は別の可能性も指摘します。
(インド政府 専門家会議メンバー アミット・ダット医師)「インド全体の抗体保有率が70%という結果がでました。インドが“集団免疫”を獲得したことを意味します。(感染者の激減は)これが一つの理由になっているでしょう。」
実は、インド政府が6月と7月に行った調査によると、主要な8州で70%以上の人に抗体が確認されたことが分かったのです。人口13億人を元に単純計算すると9億人がすでに抗体を持っていることになり、「集団免疫」によって感染者数が激減した可能性があるのだといいます。さらに…
(インド政府 専門家会議のメンバー アミット・ダット医師)「インドではこれまでに40万人が亡くなったと報告されています。しかし実際の死者数は不明です。もっと死者は出ていたでしょう。報告よりもずっと多かった可能性が高い。」
実際、アメリカの研究機関は、インドのコロナウイルスによる死者は公式発表のおよそ10倍にあたる340万人から490万人に及ぶ可能性が高いと発表しています。

▽インド感染激減の背景に“大きな犠牲”
感染拡大が止められず、大きな犠牲を払うこととなったインド…
(元大統領府報道官 アチャッタ・ダッタさん)「夫と母はまったく何も治療を受けられませんでした。とても惨めでとてもつらかった。」
元インド大統領府報道官のアチャッタ・ダッタさんは4月末に母親と夫をコロナで亡くしました。
その後、家族全員の陽性も判明し呼吸困難に陥った姪のため酸素ボンベの確保に奔走したといいます。
(アチャッタ・ダッタさん)「今でも毎日家で話します。(家族を救うために)何をすべきだったのか。これは生き残った者が感じる罪悪感です。できる限り早くワクチンを打ってください。これが唯一のコロナと闘う方法です。」
インドでは感染爆発で孤児が増加。首都圏だけで5640人の子どもがコロナで両親のどちらかを失い、273人の子どもが両方を失ったといいます。
アミット医師は、感染拡大が止まらない日本にこう警鐘を鳴らします。
(インド政府 専門家会議メンバー アミット・ダット医師)「インドから学んでください。自然感染で集団免疫を獲得すると大きな犠牲を払うことになります。絶対に参考にすべき方法ではありません。パンデミック下ではリーダーシップが非常に大切です。政府が信頼を取り戻したうえで(国民と)感染対策を実行すること、それがこのパンデミックと闘うための唯一の道なのです。」
https://news.yahoo.co.jp/articles/f281d579e97ea9620512ecdfaffe2d0926828278