矛盾だらけの異常な肩入れだ。24日開幕の東京パラリンピック競技を、都内小中高生ら13万人超に観戦させる「学校連携プログラム」に、批判が殺到している。この“学徒動員”の一方、小池都知事は感染拡大防止のため都立学校には修学旅行の中止・延期を要請。さすがに「修学旅行が中止ならパラ観戦も中止すべき」と怒りの声が噴出している。

小池知事は児童のパラ観戦をゴリ押し コロナ感染「子どもがスプレッダーの恐れ」とカナダが警鐘

 タレントの藤田ニコルも、22日放送のTBS系「サンデー・ジャポン」で「大人たちの特別を子供たちに押し付けすぎ」と発言した。デルタ株の影響で10代以下の感染者は5月時点から4倍に急拡大。それでも小池都知事は「子供たちへの教育的価値が高い」と強弁するのだ。

「都教育委員会の委員5人のうち4人が『テレビ観戦でも教育効果はある』と反対したのに、知事が言う『教育的価値が高い』は通用しない。要するに、五輪で観客をほとんど入れられなかったから、パラでは少しでも観客を入れる“絵づくり”で成功を印象付けたいのでしょう」(都政記者)

■何もかも感染対策とアベコベ

 さらに22日は、都が医療崩壊対策として、大会競技会場を臨時医療施設に転用する案を検討していることが分かった。“野戦病院”設置は大歓迎だが、実際の転用開始は早くてもパラ閉幕後の9月6日以降。これにはSNSで〈閉幕後ではなく、命を守るために今すぐやるべき〉といった声が上がる。

「やろうと思えば、すぐにでも一部会場で設置準備を進められるでしょう。東京ビッグサイトの『青海展示棟』にはパラスポーツ体験コーナーを設置しますが、この非常時に“密”を生みだしかねない。大きな『ハコもの』ですから、改修もしやすいはずです」(大会関係者)

 小池都知事のパラへの“異常な愛情”は何もかも本末転倒だ。東京五輪関連の著書がある作家の本間龍氏はこう言う。

「子供たちの“動員”も、野戦病院設置の後回しも、医療崩壊が起きている現状と明らかに矛盾しています。小池知事があり得ない判断をするのは、『パラ成功』をアピールしたいからでしょう。観客入りで競技が行われる様子を写真や映像で残せれば、後世にわたって『実績』を誇ることができる。そんな思惑で強行するなど、あり得ないことです」

 22日はパラ開会式で展示飛行を行う「ブルーインパルス」が予行演習で都内上空を飛んだが、これだって「密」の原因。「人流抑制」のメッセージとは真逆だ。女帝の“実績ファースト”のパラ強行は許されない。

8/23(月) 14:00 日刊ゲンダイ
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