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スペイン北部ヒホンで行われた闘牛フェスティバル=13日(EPA時事)

【ロンドン時事】スペイン北部のヒホンで、伝統競技の闘牛で殺された雄牛に「フェミニスト」などと名付けていたことが分かった。怒った市長は100年以上続く闘牛フェスティバルの打ち切りを表明。伝統の保護と人権の尊重をめぐり、街を二分する論争に発展している。

複数の欧州メディアが報じた。それによると、8月にヒホンで行われた闘牛で、2頭の雄牛にスペイン語で「フェミニスト」「ナイジェリア人」を意味する言葉が名付けられていた。これに女性団体や動物愛護団体などから一斉に批判が上がった。

左派系のアナ・ゴンサレス市長は「彼らは一線を越えてしまった。男女の平等を信じ、誰にでも門戸を開いている街が、このようなことを許すわけにはいかない」と非難。100年以上続く闘牛フェスティバルが「ヒホンに貢献していない」として、打ち切りを宣言した。

これに対し、右派系の対抗勢力は「見せ物を楽しむ市民の自由を奪った」などと反発。市長の決定の法的正当性を調査する方針を示し、次の選挙では闘牛フェスティバルの復活を公約に掲げる構えだ。

闘牛関連の飼育業者の業界団体は、牛の血統を管理しやすくするため、名付けでは母牛の名前が使われると指摘。今回の「フェミニスト」などの名前も1986年以前の名付けが原因だったとして、「35年以上前(に名付けられた時)は社会的・政治的文脈が異なっていた」と訴えている。

2021年08月24日07時24分
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