新型コロナウイルスの変異株「デルタ株」が猛威を振るう状況を受け、米国では9月20日から、
、すでに新型コロナウイルスのワクチン接種を完了した人の一部を対象に、3回目の接種が開始される。

一方、貧しい国々にはまだ、1回も接種を受けていない人が数多くいる。
こうした状況について専門家らは、世界全体のパンデミックとの闘いを困難にするものだと警鐘を鳴らしている。


深刻化するワクチン格差


これまでのところ、ワクチンの供給は著しく不均衡な状態にある。世界人口に占める接種完了者の割合は、約24.5%。
2回の接種を受けた人の大半は、裕福な国の居住者だ。

非政府組織(NGO)や慈善団体の多くは、ワクチンの増産が急務だと訴えている。
国際NGOオックスファム・インターナショナルは、「世界中の多くの国で、最前線で働く医療従事者でも最初の接種を待つ状況の中、
米国で3回目の接種が推奨されることは、…緊急かつ大幅な増産が必要であることを明確に示している」と述べている。

また、米カリフォルニア大学アーバイン校のアンドリュー・ノイマー准教授(疫学)は、
世界的に必要とされている量のワクチンを供給するための唯一の方法は、
「昼夜を問わずワクチン生産を続けること、より多くの工場を建設し、より多くの人を訓練することだ」と指摘。

「世界全体(の人々)が接種を受けなければ、このパンデミックは猛威を振るい続けるだろう」と警告する。

こうした中で問題をさらに複雑にしているのは、このパンデミックから人々を守るものとしてのブースターショットの重要性が、今のところ不明だということだ。

米ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院の国際ワクチン・アクセス・センターで所長を務める
同大学のウィリアム・モス教授(疫学)は、重症化リスクが高くても免疫不全ではない人であれば、2回の接種で十分な効果を得られるはずであり、
現時点では、3回目の接種が必要とは考えられないと述べている。

一方、ノイマー准教授は、「ブースターと呼ばれているが、このワクチンは3回の接種が必要なものであるということが分かり始めた、
というだけのことかもしれない」とコメント。このウイルスとワクチンについては、まだ分かっていないことが多いと話す。

さらに同准教授は、ブースターショットが承認されたことは、パンデミックに対する世界的な闘いをより困難なものにするだろうと付け加えている。

「ブースターショットの実施は、何億回分ものワクチンがすでに2回の接種を受けた人たちに回されることを意味する。
全世界の人たちに接種を受けてもらうことは、さらに難しくなる」
https://forbesjapan.com/articles/detail/42979