菅首相 総裁選で岸田氏に負ける…?若手中心に不支持増加 横浜市長選惨敗で求心力低下避けられず
[ 2021年8月24日 05:30 ] スポニチ
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 菅義偉首相が全面支援した小此木八郎前国家公安委員長が敗北した横浜市長選から一夜明けた23日、首相は官邸で記者団の取材に応じ「大変残念な結果だ。謙虚に受け止めたい」と述べた。絶対に落とせなかった地元での市長選。「皆さんがコロナ問題とか、さまざまな課題についてご判断された」と、政府の新型コロナウイルス対応のまずさが響いた可能性を認めた。
 自民党総裁選の無投票再選の可能性はほぼ消滅。立候補の意思を問われると、「出馬は当然だという考え方に変わりはない」と強調した。

 総裁選を巡っては下村博文政調会長や高市早苗前総務相が出馬意欲を表明。さらに、昨秋の総裁選で敗れた岸田文雄前政調会長も検討。岸田派内からは2度目の勝負を求める声が相次いでいたが、横浜市長選を受けてさらに高まった。

 岸田氏出馬となれば、首相は厳しい戦いを強いられそうだ。昨秋総裁選は細田、麻生、二階各派など5派閥の支持を得て議員票の7割以上を押さえた首相が圧勝。岸田票は2割にとどまった。今回も最大派閥細田派に大きな影響力を持つ安倍晋三前首相や二階俊博幹事長が菅氏再選を支持。しかし、全敗した4月の衆参3選挙に続き、7月の都議選でも低迷するなど負け癖がつく中、選挙基盤の弱い若手を中心に「菅首相の下では戦えない」との声が大きくなっており、相当数が各派から岸田氏に流れそうだ。

 さらに、安倍氏の首相辞任表明を受けた昨秋は「緊急」を理由に、例外的に国会議員票(393票)と各都道府県連の代表者各3票(計141票)のみで決めたが、今回は任期満了に伴い「フルスペック」で実施。国会議員票(383票)と党員・党友票(同)の計766票で争われ、地方票の比重が増すことになる。

 昨秋は地方票で岸田氏の得票はわずか7%だったが、今回は石破茂元幹事長が立候補見送りを示唆。共同通信社の世論調査によると、政府のコロナ対応全般について自民支持層のうち51・5%が「評価しない」と回答しており、岸田氏は菅批判票の受け皿として地方票の上積みを期待。自民党関係者は「各議員とも首相を支持しようにも抱えている党員に浸透させられるか見通せていない。新たな有力候補の出現など今後、何が起きるか分からない」と話した。

 ≪当選の山中氏、IR推進室停止へ≫初当選した横浜市立大元教授山中竹春氏は23日、市長就任後、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致に関する市の専門部署「IR推進室」の機能を停止すると明らかにした。夏ごろに予定していた事業者の選定作業を中止する考えも示した。市役所での当選証書付与式後、取材に応じた。現職林文子市長の任期は29日までで、山中氏は30日に新市長に就任する。IR中止宣言を「関係部署と調整し、可及的速やかに出したい」と強調。IR推進室に関し「推進の看板を取り下げる。必要な人員で誘致撤回の手続きを進めたい」と説明した。

 ≪総裁選前の解散困難≫コロナ対応への逆風と求心力の低下が著しいことから、首相が当初描いた総裁選前の衆院解散は困難な情勢だ。総裁選は「9月17日告示、29日投開票」を軸に調整が進められており、首相は再選した場合、10月前半から中盤の解散を模索することになる。全国の感染状況次第では解散権を行使せずに任期満了に伴う選挙になる可能性もある。

 ▽自民党総裁選 1人1票を持つ党所属の国会議員票383票(23日時点、衆参両院議長除く)と、全国の党員・党友を議員票と同数の383票に換算した地方票の合計数で争う。地方票は「ドント方式」で配分する。ドント方式とは、各候補者の得票数を1、2、3…という整数で順に割っていき得られた数の大きい順に各都道府県の持ち票を配分していく。3人以上の候補がいた場合、1回目の投票で1位が有効票の過半数に届かなければ上位2人で国会議員票と都道府県連各1票による決選投票を実施する。