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「菅首相では戦えない」若手に危機感 「党壊れるかも」自民派閥の結束に揺らぎ
8/28(土) 9:38

菅義偉首相
 自民党総裁選を巡り、各派閥の結束が揺らぎだしている。菅義偉首相の再選支持の立場を示す派閥領袖(りょうしゅう)に対し、党内の若手・中堅を中心に「首相では衆院選を戦えない」と不安視する声が渦巻いているからだ。党内7派閥のうち、5派閥が雪崩を打って首相支持に回った昨秋の総裁選から様相は一変。各派閥は情勢を見極めながら慎重に態度を決定することになりそうだ。

【図解】自民党「実力者」の相関図

 「菅はだめだ」「(首相支持を)派閥が強制はできない。俺は強制されない」

 26日、二階派(47人)の在京議員懇談会は、会長の二階俊博幹事長が欠席だったこともあり、怒号が飛び交った。二階氏が派としての首相支持を独断で決めたことへの批判や、「丁寧な手続きを踏むべきだ」との要望が相次いだという。

 すんなり首相支持でまとまったのは石原派(10人)のみ。最大派閥の細田派(96人)、第2派閥の麻生派(53人)、竹下派(52人)は、いずれも会長が首相支持の姿勢を示しているが、派の態度は決めていない。

 各派が一枚岩になれない要因は、選挙基盤が弱い若手議員らの「菅離れ」だ。内閣支持率が危険水域の首相では衆院選の「顔」は務まらないと反発。若手らに「菅支持」を押し付ければ離反も招きかねず、「今回はエネルギーを使って丁寧に進める必要がある」と各派ともに慎重姿勢を示す。

 ただ、新型コロナウイルス対応への世論の逆風は強く、東京都議選や横浜市長選など「連敗」続きの首相は求心力が著しく低下しており、派内の意見集約は容易ではない。「(衆院選で)皆、生き死にが懸かっており、簡単には決められない」「自主投票になる可能性もある」。派閥幹部からはこんな声も漏れる。

 一方、危機感を強める若手の一部には派閥を超えた動きも出てきた。26日、当選3回を中心とした衆院議員15人が集まり、国民に求められる党や総裁のあり方を取りまとめ、党内で議論していくことを確認した。

 総裁選には首相のほか、岸田文雄前政調会長が立候補を表明。下村博文政調会長と高市早苗前総務相も意欲を示す。前回と違って、国会議員票と同数となる党員・党友票がより重視され、選挙前の衆院議員は地方の声をないがしろにはできない。派閥幹部は「首相支持で派内を固めても党員投票の結果次第では勝ち馬に乗ろうと造反する議員が出かねない」と頭を抱える。

 「菅」か「反菅」か自主投票か−。派閥がどの選択をしても党内に禍根を残しかねない。首相続投支持の立場の安倍晋三前首相は、周囲にこう漏らしている。「党が壊れるかもしれない」

 (東京支社取材班)