https://gigazine.net/news/20210830-taliban-ban-opium/
アフガニスタンを制圧したイスラム主義組織のタリバンが国内でのケシの栽培を禁止するよう呼びかけたため、ケシを材料とする麻薬のアヘンの価格が
約3倍に高騰していると報じられました。

Taliban Move to Ban Opium Production in Afghanistan - WSJ
https://www.wsj.com/articles/taliban-afghanistan-heroin-ban-opium-production-11630181316

海外紙のウォール・ストリート・ジャーナルが報じたところによると、タリバンは国内の農民に対し、「ケシの栽培を禁止する」と伝え始めているとのこと。
そして、タリバンからの告知により生産が先行き不透明となった結果、ケシが栽培されるカンダハール州やウルーズガーン州などで、
アヘンの価格が1kg当たり約70ドル(約7700円)から約200ドル(約22000円)へ上昇したとのことです。
なお、2021年8月17日にタリバンが記者会見を開いた際、タリバンの広報を務めるザビフラ・ムジャヒド氏が「新政府はアフガニスタンでの麻薬取引を停止する」と述べていました。

しかし、アフガニスタンは世界に流通するアヘンの約80%を輸出していると言われるほどの主要なアヘン生産国です。
アフガニスタンの乾燥した気候や貧弱な貯蔵インフラで、ケシは地元の農家が生産できる数少ない換金作物の1つであり、栽培が禁止された場合農家が飢えに苦しむ恐れがあります。
地元農家はウォール・ストリート・ジャーナルに対し、
「タリバンはサフランのような他の作物を育てるように言った。農家にとっては不幸なことだが、タリバンが強制的に禁止した場合は従うしかないだろう」と述べました。

アメリカは20年にわたってアフガニスタンのアヘンビジネスを抑制しようと試みてきましたが、ケシの栽培で生計を立てているアフガニスタンの農民からの反発を招いたために、
失敗に終わりました。
今回タリバンが栽培を禁止することでアヘンビジネスの根絶が図られる一方、国民の重要な収益源が奪われ、タリバンに対する国民の支持が低下する可能性があると
ウォール・ストリート・ジャーナルは指摘しています。

アメリカは国内の銀行にあるアフガニスタン政府の資産を凍結してタリバンのアクセスを阻止しており、対外援助も受けられない状況にあるタリバンは、
アフガニスタンの経済崩壊を食い止める必要に迫られています。
タリバンにとって政治的リスクとなるアヘンの禁止がどのような効果をもたらすのか、今後の動向が注目されます。