発端は入院前PCR検査で陰性の患者 水際対策の難しさ浮き彫りに〈デルタ株クラスター 鹿児島市・米盛病院報告書より〉


鹿児島市の米盛病院で発生した新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)は8月20日に収束宣言が出された。
県内で初めて、デルタ株によるクラスターだったことや、ワクチン接種完了者も感染する「ブレイクスルー感染」が公表される事例となった。

感染拡大の要因は何で、情報共有はどうあるべきか。病院が医療関係者に提供した資料をもとに検証する。

7月21日、最初に職員1人の感染が院内で確認された。病院は同日午後5時に災害対策本部を立ち上げ、
接触者の調査を開始。翌日、入院患者2人の陽性が判明した。

感染者情報はホームページで公表した。7月25日までに17人(入院患者14人と職員3人)の感染が分かり、
市は同日、「鹿児島市の医療機関」と匿名でクラスター発生を発表。米盛病院は自院であることを自ら明らかにした。

感染経路は、入院当日に行うPCR検査で「陰性」と判定された患者から持ち込まれたと推定した。

職員1人と同室の入院患者1人にうつり、この患者がリハビリのため回復期病棟へ移った際、
ケアに当たった職員2人と同室の入院患者2人へ拡大。さらに、病棟内の入院患者12人と職員1人、その知人1人に広がった。

感染者は最終的に21人に上った。PCR検査を行っても防ぎきれない水際対策の困難さが浮き彫りとなった。

県の変異株スクリーニング検査により、感染者21人全てがインド由来のデルタ株だったことも分かった。
ワクチン接種後にも感染するデルタ株の脅威も明らかになった形だ。

ワクチン2回接種完了後に感染が確認されたのは職員2人、入院患者1人で、いずれも軽症か無症状。1回のみ接種が2人だった。


未接種は16人で、うち高齢者が多く含まれていた。米盛公治院長は、感染した高齢者の多くが未接種だったことについて
「重い疾患での入院や手術を控えていると、体調維持の面で接種のタイミングを図るのが難しかった」と説明する。

「高齢者向け接種が始まる前からの長期入院患者も多かった。接種希望者が少なかったことも影響した」と語った。
https://news.yahoo.co.jp/articles/372396e7cbb0aa98115e8866c675073879a4c661

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