化粧品大手DHCの子会社「DHCテレビジョン」の制作した番組「ニュース女子」の内容に名誉を毀損されたとして、
市民団体「のりこえねっと」の辛淑玉・共同代表が同社と番組の司会者を訴えていた裁判。


「ニュース女子」はバラエティー色のある情報番組。「DHCテレビジョン」が制作し、TOKYO MXなど複数の地方局で放送していた。

問題となったのは2017年、沖縄基地問題を特集した番組。高江の米軍ヘリパッドの反対運動について報じた。

(中略)
番組をめぐっては、BPO(番組倫理向上機構)の2つの委員会が「重大な放送倫理違反」「名誉毀損」などと結論づけ、
取材の欠如や事実確認の不足、人権や民族を取り扱う際に必要な配慮を欠いたことなどを指摘している。

(中略)
この日の東京地裁の判決では、「(辛さんが)危険な存在であるとの悪印象を強調する行為」に及びながら謝罪や訂正がないこと、
現在も番組の公開が続いていることなどから、損害賠償の支払いと謝罪広告の掲載を命じた。

また、「日当」については、「のりこえねっと」が「反対運動の参加者に対して現金の支給をしたことを認めるに足りる証拠」はないと指摘。

「のりこえねっと」が高江に派遣した「特派員」に対し、交通費5万円を支払っていたことは
「現状を発信してもらうことに主たる目的がある」「反対運動を煽る目的でされたものとは認め難い」と認定した。

反対運動についても「過激(派)」「襲撃される」「警察でも手に負えない」「テロリスト」などの表現で、
「ことさらに危険性の高い暴力が直接身体に加えられる可能性を強調し、視聴者に印象付けている」とした。

そのうえで判決は、辛さんが「経済的支援を含め、反対運動を煽っている」とする番組内容について、
「重要な部分の真実性が証明されているとは到底いえない」と結論づけた。
さらに、「取り上げられた内容は根拠として薄弱である」として、辛さんや「のりこえねっと」に対する取材や裏付け調査が不十分だと指摘した。

一方、現在もネット上で続く番組の公開差し止めについては、「公表直後と同等に重大な損害が発生するとはいえない」と退けた。

■「私への仕打ちは、酷いものでした」
判決後に会見した辛さんは、「画期的な判決をいただいた」と述べつつ、番組を契機にさまざまな誹謗中傷にさらされたとして、次のように語った。

「この番組は私を利用して沖縄の平和運動を愚弄する、もっとも悪質なフェイクニュースでした。
そして、犬笛でした。日本人ではない私が、反戦運動に声をあげること、沖縄のことに思いを馳せることを巧みに利用された。
そして、そのことで2017年から受けた私への仕打ちは、酷いものでした」

「今回の判決は、番組が問題であったということを明確に示した。私への名誉毀損の部分でしか戦うことはできませんでしたが、
あの番組が問われているのは、まごうことなきフェイクです。沖縄の人たちを愚弄し続けたのです。
そこの部分はこれから次のステージで戦っていかなければいけない」

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