千葉県市川市の村越祐民市長が、同市議会の男性市議が市職員にパワーハラスメントを繰り返していると実名で公表し、波紋を呼んでいる。この男性市議は米テスラ社製の高級電気自動車の市長公用車導入や、市長室のトイレに設置したシャワー室の存在を明らかにするなど村越市長の市政運営を追及してきており、「なんらかの意図を感じる」との声も上がっている。

 村越市長は8月24日の定例記者会見で、4月に行った全職員対象のアンケート調査で特定の男性市議からのパワハラを訴える回答が複数あったとして、市議の実名を出して「脅迫ともとれる発言や度重なる無視などがあり、看過できない状況にある」とし、議長に申し入れをすると発表。一部の新聞が実名で報じた。

 8月30日に金子正議長に対し、市議会による調査と「厳正な対処」を求める申し入れ書を提出した。9月2日には市議会の会派代表者会議で村越市長が公表に至った経緯などを説明。他自治体で議員から職員へのパワハラが問題になり調査特別委員会(百条委)が設置された事例を挙げて「(他自治体では)辞職や次の選挙に出ないなど厳しい結果が出ている。我々は全て資料を整えている。職員は証言をする準備がある」と百条委設置を求めた。

 だが、市は実名公表前に男性市議に事実確認や聞き取りなどはしておらず、男性市議は「不自然な点が多く、唐突なことで驚いている」と反発。会議に出席した市議からも「最初は議長が注意するなど段階があるのでは」「音声データなどの証拠はあるのか」などの疑問の声も出た。

 市議会は6日にも代表者会議を開き、方向性を決める予定。金子議長は「百条委は非常に重いので慎重にすべきだと思っている。各会派の意向を尊重して対応していきたい」と話した。【小林多美子】

毎日新聞 2021/9/2 16:58(最終更新 9/2 16:58) 733文字
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