年を取るにつれ病院などで処方される薬が増えてしまうが、注目されているのが「後発医薬品(ジェネリック医薬品)」だが、先発薬から変えた患者にとってメリットばかりとは限らないと指摘する専門家もいる。何が原因なのか。

(中略)
 出荷検査の組織的不正、異物混入による健康被害など相次ぐジェネリック医薬品メーカーの不祥事発覚を受け、厚労省はこの6月から7月に全国のジェネリック製造工場で一斉抜き打ち検査を実施した。その結果が、まもなく公表される。

 ジェネリック医薬品への信頼が揺らぐなか、厚労省は信頼確保に向けて2022年度概算要求で「立入検査や承認申請資料の適合性調査」を強化するための予算を盛り込む見通しだという。

新潟大学名誉教授の岡田正彦医師がいう。
「先発薬とは異なる部分もあり、安価だからといって医師に相談せずにジェネリックに変えるという判断にはリスクが伴います。」

 実際に、“同じ薬”と思ってジェネリックに変えたところ「体調不良になった」というケースもある。60代の男性が言う。

「それまで2年ほど飲み続けていた脂質異常症の薬をジェネリックに変えたのですが、2週間ほど経った頃から歯を磨いた時に歯ぐきから血が出るようになりました。医師に相談して先発品に戻したら、血は出なくなった」

 効き目が同じとされるジェネリックで、なぜ先発薬と違いが出るのか。

同じ部分と別の部分が
 前出・岡田医師が解説する。

「そもそも薬は主成分だけでは効果を発揮しません。主成分以外の添加物や製造方法で調整して、目指す薬効に合わせた技術を加えます。ところがジェネリックが使えるのはあくまで主成分に関する特許であり、錠剤の製造方法などの特許期限が切れていなければ、同じ技術は使えません。薬を変えた時に違和感が生じるのは、主成分以外の技術が異なるからである可能性があります」

 医薬品類に関する主な特許は3つある。新薬の化学構造(主成分)に対する「物質特許」と、製法に対する「製法特許」、錠剤・散剤・注射剤など剤型に対する「製剤特許」だ。いつき会ハートクリニック院長の佐藤一樹医師が解説する。

「後発薬として認められるための条件は、『物質特許が切れている』ことと、『効果が先発薬と同等(±20%)と証明する』ことの2つです。しかし、薬は有効成分が体内でどう吸収されるかで効き目に違いが出るもの。化学構造についての特許が切れていても、吸収技術に関わる製法特許や製剤特許が切れていなければ、先発薬とジェネリックは“別の製品”です」

 そうしたなかで、注意しなくてはならないのが「アレルギー反応」による不調だ。

 また、添加成分が異なることで「効き目の時間」が変わる薬もある。

「気管拡張薬のテープ製剤でこんな例があります。先発薬はゆっくり持続的に効果を発揮しますが、ジェネリックは皮膚からの吸収が速く、効き目がすぐに出てしまう。急に効くことで、副作用の『動悸』が起こりやすくなります。」(同前)

病院や薬局の窓口でジェネリック薬を勧められることの多い患者は、どう見極めるべきなのか。前出・岡田医師が言う。

「多くの医師は、『どっちでもいいんですよ』と言うかもしれません。しかし、ジェネリックと先発薬は同じ薬ではないし、ジェネリックに変えたことで違和感を覚えたら、自己判断をする前に医師に相談してください。」

※週刊ポスト2021年9月10日号

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