自民党の岸田文雄前政調会長は8日の記者会見で、総裁選で訴える経済政策を発表し、「小泉改革以降の新自由主義的な政策を転換する」と述べた。
 岸田氏は「小泉改革以降の規制緩和、構造改革の新自由主義的政策はわが国経済の体質強化、成長をもたらした。他方で富める者と富まざる者の格差と分断を生んできた。コロナ禍で国民の格差がさらに広がった。成長と分配の好循環を果たし、新たな日本型の資本主義の構築が必要だ」と述べた。
 岸田氏は「新しい日本型資本主義構想会議」を設置し、ポストコロナ時代のビジョンを作成すると説明。日本経済再起動のための成長戦略の4本柱の1本目に、「日本の科学技術の力は陰りを見せ、新型コロナのワクチンも日本独自の開発ができていない」として、「科学技術立国」を掲げた。
 「科学技術とイノベーションへの投資を抜本的に拡大する。世界トップクラスの研究大学建設のため10兆円規模の大学ファンドを年度内に設置する」とし、民間企業が行う研究開発への税制支援などを行うとした。
 このほか、技術流出の防止に向けた国家戦略を策定し「経済安全保障推進法」を制定するほか、デジタル分野のインフラ整備を進めて都市部と地方の距離を縮め、東京一極集中を是正するとした。

東京新聞 2021年9月8日 10時58分
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