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2021/09/09(木) 20:29:19.79ID:XHtl4BE19東北大学
研究のポイント
・咽頭注 1・食道に魚の骨が刺さった(魚骨異物)患者を調査し、年齢、性別、原因となった魚の種類、刺入した部位、自然脱落の有無、摘出方法などを詳しく調べた。
・魚骨異物は 4 歳以下の幼児に多いことがわかった。
・カレイ・ヒラメの骨は下咽頭や食道に刺さることが多く、内視鏡下摘出術や全身麻酔下での手術が必要になることが多いことが明らかになった。
研究概要
魚の骨が口や喉に刺さってしまう疾患を「魚骨異物」と呼びます。魚骨異物は魚消費量が多い国において一般的な疾患ですが、詳しい調査はあまり行われておらず、魚の種類によって骨の刺さり方や頻度が変わるかどうか明らかにされてきませんでした。
東北大学大学院医学系研究科の耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野、香取幸夫教授らのグループは、東北大学病院における咽頭・食道の魚骨異物患者の調査を行い、その臨床的特徴を明らかにしました。
本研究は、非常に一般的な疾患であるにも関わらず、その詳細が調査されてこなかった魚骨異物の特徴を明らかにした重要な報告です。
本研究成果は、2021 年 8 月 17 日 PLOS ONE 誌(電子版)に掲載されました。
https://research-er.jp/img/article/20210908/20210908120638.png
研究内容
魚の骨が口や喉に刺さってしまう疾患を「魚骨異物」と呼びます。魚骨異物は魚消費量が多い国において一般的な疾患であり、特に、アジアでは咽頭・食道に刺さった・詰まった異物の約 50-90%を占めるとされます。
ありふれた疾患である一方、詳しい調査はあまり行われておらず、魚の種類によって骨の刺さり方や頻度が変わるかどうか明らかにされてきませんでした。
今回、東北大学大学院医学系研究科の耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野、香取幸夫(かとり ゆきお)教授、鈴木淳(すずき じゅん)講師、c雅悠(ししど ただひさ)医員らのグループは、
魚骨異物疑いで東北大学病院を受診した患者さんの詳しい調査を行いました。2015 年 10 月から 2020 年 5 月までの期間に魚骨異物の疑いで受診した患者さんは 368 例であり、そのうち医師が異物を確認した 270 例(74.3%)を調査対象にしました。
患者さんの年齢は乳幼児が最も多く、0〜4 歳が全体の 25.9%を占めていました(図1)。骨が刺さっていた部分は口蓋垂(こうがいすい、いわゆる「のどちんこ」)から舌根(舌の付け根の部分)にかけての中咽頭領域が87.4%と大多数を占め、特に口蓋扁桃(いわゆる「扁桃腺」)に刺さっている症例が多いという結果でした。
魚の種類はウナギの仲間(ウナギ 34 例・アナゴ 3 例・ハモ 2 例)が 14.4%と最も多く、次いでサバ 12.2%(33 例)、サーモン 12.2%(33 例)、アジ 11.1%(30 例)、カレイの仲間 11.1%(カレイ28 例、ヒラメ 2 例)であり、ウナギを除いては家庭での生鮮魚介消費量の多い魚が主な原因となっていました。魚骨異物を確認した 270 例のうち、12.2%(30 例)で、診察中に骨が自然に脱落しました。残りの 240 例で摘出術が行われました(図 2)。
54.6%(131 例)が口腔から直接摘出、42.9%(103 例)が内視鏡下での摘出手術、2.5%(6 例)が全身麻酔下の手術でした。12 歳以下の小児例は 139 例で、中咽頭領域に骨が刺さっていた症例が 99.3%(138 例)を占め、内視鏡下摘出術を要した症例は 22.3%(31例)でした。様々な魚の種類の中で、カレイ・ヒラメの骨は、下咽頭や食道に骨が刺さる
頻度が高く(30%)、自然に脱落することが少なく(9.1%)、内視鏡下摘出術や全身麻酔下での手術が必要になる症例が多い(65.5%)ことがわかりました。
結論:本研究によって咽頭・食道の魚骨異物特徴が明らかとなりました。魚骨異物は 4歳以下の幼児で生じることが多く、内視鏡下摘出術や手術といった、患者さんに負担の高い治療が必要となる場合があります。魚の種類によって刺さりやすい部位や摘出法に違いがあることが明らかとなり、本研究の成果が今後の診療に生かされることが期待されます。
===== 後略 =====
全文は下記URLで
https://research-er.jp/articles/view/102837