アイキャッチ画像の自民党の高市早苗衆議院議員と老紳士は、奈良県安堵町にある平山観光株式会社のウェブサイトから引用したものである。高市議員と親密そうな老紳士は同社の平山亘社長(写真撮影当時)であり、同時に自由民主党安堵町支部長、部落解放同盟安堵支部長という肩書を持っていた。

しかし、その平山社長は2019年10月17日、農地法違反の疑いで逮捕されてしまった。その後、懲役1年執行猶予3年の有罪判決(会社としての平山観光には罰金300万円)を受け、失脚した。その裁判を通じて明らかにされたのは、平山氏が安堵町において“第2の町長”と言ってもいいほどの権勢をふるい、町職員が言われるがままになっていた、異常な実態である。

■安堵町の同和のドン

そもそもこの裁判に興味を持ったのは、奈良県のある不動産業者からこう言われたことだった。

「奈良県は御所市の川口正志(奈良県議会議員・解放同盟奈良県連委員長)が有名だけど、安堵町と言えば平山亘。奈良の部落は廃墟が多いって言うけど、各地に同和のドンがいて、土地を開発しようとすると平山みたいなのが出てくるから、不動産屋は面倒臭がって関わりたくないの」

そして、平山氏が特徴的なのは自民党との関係が極めて深いことだ。特に地元の高市議員とは懇意で献金もしているという。

確かに、自民党安堵町支部の収支報告書には、代表者が平山氏であることが書かれている。これだけではなく、自民党奈良県連の役員も務めていた。

そして、高市議員が代表を務める政治団体の収支報告書には、「高市早苗さんをみんなで激励する会 アフターヌーン・セミナー&懇親会」において、平山観光から30万円が献金されたことが書かれている。無論、これは平山氏から高市議員への献金の一例に過ぎない。

自民党系の同和団体と言えば自由同和会、一方で解放同盟は旧社会党系。先述の川口県議も元社民党である。しかし、平山氏は解放同盟支部長でありながら、自民党支部長であるというのは興味深いことに思えた。

長年、奈良県は奥野誠亮元法相の影響が強く「公認も奥野さんの承認なくしてありえなかった」(地元自民党議員)という。だが後継者の信亮氏(衆議院議員)の時代で奥野一族の威光も過去のものに。その中で新進党出身の高市氏は保守層からの人気を得て独自の存在感を発揮してきた。 その高市議員が、解放同盟支部長の支援を受けていたというのは驚くべきことだ。その原資が後述する通り絵に描いたような不正な土地利権がらみのものとなれば、共産党以外の左派が同和に対しては何も言えず、保守派さえも沈黙する理由が納得できるというものだ。

平山氏の安堵町における力の大きさは想像以上に絶大である。平山観光のウェブサイトには「同和対策事業への協力」として「弊社代表平山亘は1985年10月に安堵町同和対策事業 特別委員会 委員長に就任」と明記されている。その頃から町政に関わっていたことが分かるが、影響力は同和対策だけではない。

「安堵町では平山亘は町長以上の力を持っています。例えばコーナン。あれはもとは田んぼだったのを平山亘の力で転用して誘致したものです」

では、平山氏はどうやってそれだけの力を持つようになったのか。不動産業者によれば、もともと平山氏は金貸しをしていたという。昔は選挙にとてもお金がかかったので、候補者に資金を貸し付ける、そうすると当選した議員は平山氏に頭が上がらなくなる。そして、取り立てはとても厳しかったということだ。

また、暴力の影もちらつく。平山氏の兄は既に亡くなっているが、山口組直参・南一家(2011年に解散)の会長だった。このことは、この不動産業者だけでなく、複数の人物から聞いているので、安堵町では割と知られていることのようだ。そして、これは農地法違反の裁判の中でも明らかにされたが、平山氏自身にも傷害罪で前科一犯の過去がある。

こうして力を持った平山氏は高速道路インター近くなど、立地の良い場所の農地を転用して、利益を得てきたということだ。(続きはソース)

■「安堵町に貢献してきた人物」

と、ここまで読むと平山氏が安堵町を恐怖で支配した人物のように見えてしまうかも知れないが、地元での評価は全く異なる。(続きはソース)

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