2021/9/14 01:14

 従来のスーパーコンピューターによるシミュレーションでは再現が不可能だった太陽の特殊な自転を、世界最高性能のスパコン「富岳」で再現することに、千葉大などの研究チームが世界で初めて成功した。太陽物理学における最大の謎とされる、太陽の黒点数が約11年周期で変動する現象の解明につながるという。

 どの緯度も同じ速度で自転している地球と異なり、太陽の自転周期は特殊で、北極や南極付近が30日程度なのに対し、赤道付近は25日程度であることが古くから観測によって知られている。半径の外側約30%を占める熱対流層の働きで生じているらしいが、詳しいことはよく分かっていない。

 研究チームは、熱対流層全体を54億の点に分け、それぞれに密度や温度、圧力などのデータを精密に当てはめてシミュレーションを行った。その結果、ほぼ観測データと同じ太陽の自転を再現できた。過去のスパコンでは熱対流層を2億点程度にしか分けられなかったが、点が飛躍的に細かくなり、生じる磁場が正確に再現されたためらしい。

 太陽の自転は、黒点の形成と密接な関わりがあるとされている。黒点は11年周期で増減しており、数が多い時期は太陽フレアという爆発現象で強い電磁波を放出し、人工衛星や送電線に障害を与えることがある。

堀田英之・千葉大准教授は「シミュレーションで太陽の自転に対する理解をさらに深め、黒点の周期的増減の謎の解明につなげていきたい」と話している。

ソース https://www.sankei.com/article/20210914-P2WGDM3GY5P6TOPRKZCN6744ZI/