新型コロナウイルスのワクチン接種を終えたあと2週間以上して感染が確認される、いわゆる「ブレークスルー感染」。
感染した経験をSNSにつづった20代の女性に話を聞きました。
投稿したのは関西地方の病院で看護師として働く20代女性です。

感染経路ははっきりとはわかっていません。ただ、心当たりは勤務中のことだといいます。
8月初旬、2回目のワクチン接種を終えて2週間がたとうとしていた頃でした。

ケアの最中にせき込んだ患者の飛まつを浴びたことがありました。
女性はサージカルマスクやゴーグルなどを身につけていたうえ、ケアの後に顔や手をよく洗ったといいます。

ところが数日後、37度4分の熱が出ました。
その日のうちに受けたPCR検査の結果は「陽性」。接種を終えてから19日後のことでした。


発症2日目。
発熱の症状はありませんでしたが、味覚と嗅覚が無くなり、軽いせきと下痢が始まったといいます。
塩や砂糖を口に入れると砂利のように感じ、食欲がわかなくなりました。


発症5日目くらいから、せきと吐き気の影響で固形物が食べられなくなったといいます。
そんな時に口にすることができたのは、甘みを少し感じることができたプロテインでした。

女性は1人暮らしで、食料品の備蓄はほとんどありませんでした。

あっとういう間に体重が4キロ落ちたといいます。


発症から1週間がたつ頃、ひどいせきが続いて、息がうまくできないことが多くなりました。

パルスオキシメーターで血液中の酸素の値を測ると、一時は中等症の目安となる94%まで低下。
寝ている間に呼吸が止まってしまうのではないかと不安に襲われました。

座ったほうが呼吸が楽になった女性は、上体を起こした状態で眠ったこともあったといいます。
「横になると苦しいし不安なんですよね。もし寝ている間に呼吸ができなくなったらどうしようとか。座って寝れば安心だと思って」


発症10日目。

脱水の症状が現れるようになりました。
ひどいせきで水を口に入れるとむせてしまい、飲めなくなったといいます。
「手がしびれる脱水の症状が出てきました。水はさらさらしているのでせきが出ている最中に飲むと、むせるんです、余計。全然飲めませんでした」

その後、保健所を通じて医師に往診してもらい点滴の治療を受けると楽になったといいます。


発症からおよそ2週間、再び下痢と吐き気に襲われ、脱水症状になりました。
この頃は1日に250ミリリットルの水を飲むのが精いっぱいだったといいます。

ひどい腹痛で冷や汗も止まらなくなりました。

保健所に電話しましたが、医師が往診できるかわからないと言われたといいます。

その翌日、それでもつらいと訴えた女性の元に医師が訪れ、点滴などの治療を受けて、なんとか回復することができたといいます。


森内教授はワクチンの役割をシートベルトに例えて説明してくれました。
「シートベルトさえしていれば交通事故で死ぬことはないなんてことはありえません。
着け方を間違えるとそれが原因でけがをすることだってあります。
だからといってシートベルトに意味がないかというとそうではなく、事故時に死亡する確率を大きく下げることができます。
新型コロナウイルスワクチンはそれに匹敵するか、それ以上の効果を持っています。100%有効でないからむだだということでは決してありません」


ブレークスルー感染を経験した女性は取材の最後にこう話しました。
「最初はワクチンを接種した意味がなかったのではないかと考えてしまいましたが、もし接種していなかったら重症化していたのではないかと今では思います。
ワクチンを接種しても感染している可能性もありますし、周りに感染させるリスクもあることを考えて行動する必要があると思います」

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210915/K10013251331_2109151945_2109151946_01_02.jpg
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2021年9月15日 21時21分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210915/k10013251331000.html