https://news.yahoo.co.jp/articles/47c0be15e74f4f632c83d6c01ab4bc7bfc3c963a

2021年産のコメ価格が値崩れしている。JAグループが農家から買い取る価格は東日本を中心に60キロ当たり8千円を切るケースも出てきた。中国地方でも銘柄によっては1万円を割り込む。全国的に前年比2〜3割減の「暴落」ぶりだ。

 食生活の多様化でコメ消費が減り続け、コロナ禍による外食需要の落ち込みが追い打ちを掛けているという。外食で使う、価格の安い業務用米の下落が特に目立つようだ。

 茶わん一杯のご飯が10円ほどにしかならない。コメの価格は40年前よりもむしろ安くなっている。

 農家はやっていけないだろう。それでも消費者はさらなる価格低下を求めるだろうか。コメ作りと農家のあるべき姿をあらためて考え直さなくてはならない。

 低価格は経済原理を度外視した生産構造にある。広島県の平均的な作付面積(1・3ヘクタール)で試算すると、コメ農家の経営の厳しさに驚く。

 収穫量は多くて7トン。60キロ1万円で売れれば収入は117万円ほどになる。これから販売手数料や農薬代などを引き、農機の償却もする。土地を借りる場合は地代も必要だ。

 売価1万円でも原価割れという。しかもその原価に労働費は含まれていない。農家はただ働きし、損を承知でコメを作り続けているのだ。

 それでも廃業しないのは、多くの農家が他に収入源を持つ兼業で、受け継いできた水田と、集落機能の維持を務めと感じているからだろう。だが農家の使命感に頼り続けていくこともそろそろ限界ではないか