菅義偉首相による会員候補6人の任命を拒否した日本学術会議の在り方について、自民党総裁選に立候補している河野太郎行政改革担当相は「学術会議ももう少し、幅広いことを考えたことをやってもらわなければいけない。防衛省の予算で研究するのは軍事研究だからだめだみたいな短絡的なことではないようにやってもらわなければいけない」との認識を示した。

◆「もう少し国民にわかりやすく」
 16日に行われた報道各社とのグループインタビューで答えた。
 記者は、学術会議側が任命拒否の撤回や任命拒否の理由や経緯を明らかにするようにしていることを踏まえ、河野氏が首相に就任した場合、「任命拒否の撤回や拒否理由の開示をする考えはあるか」と尋ねた。
 これに対し、河野氏は「学術会議について申し上げれば、科学技術についてさまざま意見を述べるというところが政府から独立してあるというのは大事だと思いますが、そこがじゃあどういう人たちを代表しているのか。どうやってそこのメンバーが選ばれるのか。もう少し国民にわかりやすくしていく必要がある」と指摘。
 「科学者あるいは学者と言われる方、有識者をどこまでの範囲を代表していて、代表しているというのはどういう形でそこから代表が選ばれているかというのが今一つ分からないところがある。そういうところはしっかり直していかないといけない」と語った。
 さらに河野氏が防衛相だった時の経験として「最近の防衛技術は軍事技術と民生技術がはっきり別れているわけではない。むしろ民生技術で開発されたものを防衛にも使うというようなことが必要になっている。学術会議のように防衛省の予算で研究をやるなみたいなことを大学に言って大学が『学術会議が言っているもんでちょっと』ということになるのは必ずしも国益に即しているとは言えない」と語った。

◆6人の拒否「理由聞いて考えたい」
 また6人の任命拒否については「6人についてどういう理由で任命されなかったかというのは私もタッチしているわけではない。一度きちんと政府の中で、任命されなかった理由というのを聞いてみて考えていきたい」と説明。その上で「誰をどのように代表しているのかという部分と、それからもっと広い、防衛省の予算で研究するのは軍事研究だからだめだみたいな短絡的なことではないようにやってもらわなければいけないだろうと。それはどういう風にやるのかは分かりませんが。学術会議とキャッチボールしていかなければいけない」と述べた。
 日本学術会議の会員候補6人の任命を拒否した人事について、総裁選に出馬表明している岸田文雄前政調会長は「撤回は考えません」との考えを示している。

東京新聞 2021年9月16日 16時26分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/131247