多くの女性が長年付き合う生理。最近、ナプキン、タンポンに次ぐ生理用品の選択肢として、膣(ちつ)内に挿入して経血を受け止めるシリコン製のカップ、月経カップに注目が集まっている。日本人女性が使いやすいよう、月経カップを国内製造し、販売する「Deye(ディアイ)」(倉敷市沖)で、特徴や使い方を聞いた。

 手のひらにすっぽり収まるサイズで、釣り鐘型のコロンとしたシルエット。つまむと程よい弾力がある。同社で月経カップの営業を担当する井原彩香さん(30)は、「最初は体の中に入れることを怖がる人が多いが、慣れると快適」と紹介する。

 同社の月経カップ「サニタリーフェアリーカップ」(4400円)は医療用シリコン製。直径4・5センチ、長さ7センチで17ミリリットルの容量がある。コンタクトレンズなど医療機器を製造販売する同社が、生理や産後ケアといった女性ならではの課題を最新技術で解決する「フェムテック」ブームに着目。医療品を扱ってきたノウハウを生かして開発した。

 大きな特徴は繰り返し使えること。きちんと使用方法を守れば2、3年は使い続けることができる。「ごみも出ないので環境に優しいし、経済的。ナプキンを持ち歩く手間から解放される」と井原さんは説明する。体内で経血を受け止めるため、漏れや臭い、経血がどっと出てくる不快感もなく、スポーツや海水浴時でも安心だ。昨年6月からインターネットなどで販売を始め、幅広い世代から支持を集める。

 ではどのように使うのか。まずはせっけんで手を洗って清潔にする。挿入しやすいように高さ5センチのカップ部分を折り畳み、口の部分から膣口に入れる。カップ全体が体の中に収まるよう奥へ入れ、中でカップの口が広がったことを確認できたら装着完了。連続8時間まで使用できるが、初めて使うときや経血の量が多い日はナプキンと併用すると安心だ。

 取り出すときは、軽くいきみ、下降してきたカップの底をつまんで中の空気を抜く。爪で膣を傷つけないよう慎重に取り出し、たまった経血をトイレに捨てる。トイレットペーパーやアルコール不使用のウエットティッシュで軽く拭けば再装着できる。出し入れはコツがいるため、「慣れるまではお風呂で練習するのがお勧め」と井原さん。

 生理が終わったときや、しばらく使わないときは無香料のせっけんでよく洗い、自然乾燥させて保管する。使用する前には鍋で煮沸消毒するか、専用の消毒液につけ置きして殺菌する。体調、体質によっては、ごくまれにトキシックショック症候群という高熱や倦怠(けんたい)感を引き起こす急性疾患を発症する可能性があり、「使用時間と使用方法は守ってほしい」と呼び掛ける。

 生理用品はまだまだナプキン、タンポンのイメージが強い。井原さんは「他にも選択肢があることを知り、ライフスタイルに合わせて選んでほしい。生理期間を少しでも楽に過ごす一助になれば」と話している。

山陽新聞 (2021年09月17日 17時02分 更新)
https://www.sanyonews.jp/article/1176650/